たいていの組織(事業分野)では人が足りない。人はいくらでも欲しい。給料が高くない新人は欲しがる組織が多い。新人が一人でも多く配属されると、その組織は何か重要視されているようで勢いがつく。
しからば、どんな基準で新人を配属するか。たいていは、現在、利益に貢献していて、忙しい組織の主張が強力で、より多くの新人が配属されるのではないだろうか?しかし、それは一般的には間違いである。
なぜなら、新人は即戦力ではなく、とくに研究、開発や熟練の技が必要とされる職場では1,2年は直接役に立たず、むしろ足手まといになるだけである。しかも、忙しい職場では十分な育成もできず、単純労働に使ってしまう。
その上、現在儲かっていて忙しい組織は、よくある話では、数年後にはその勢いがなくなり、下手すれば人が余る場合さえある。そしてそのころ、かっての新人がようやくその組織で、衰退した分野のスキルを身につけ一人前になるのである。
数年後に隆盛となる組織を予測するのは至難の技である。一般的には組織(技術グループ)は隆盛から数年で衰退へ向かい、新しい事業分野を開拓しようとする。転換できなかったり、失敗すれば解散するが、生き返れば再び隆盛へ向かう。事業分野、技術分野によりその周期は異なるが、現在ではおおざっぱに言って数年ではないだろうか。
だとすれば、乱暴な話、新人は今衰退している組織に配属すべきである。育成の人手も十分あり、新しい事業分野を0から立ち上げるという貴重な経験を新人に味合わせることができる。何をやるべきかを探すという仕事の一部を新人にやらせ、現在企業にもっとも必要とされるスキルを磨かせることができるはずである。
以上は逆説的でリスクのある話であり、100%の実現は難しいであろうが、少なくとも一意的な考え方での配属は避けるべきである。長期的展望が必要とされる新人配属のような話はポートフォリオ的に多様な考え方をとってリスク分散する対応をすべきであろう。