林真理子著「いいんだか悪いんだか」2010年4月、文藝春秋発行を読んだ。
林さんのいつものブログ風のエッセイ集だ。芝居見物、京都での優雅な遊び、有名人とのお付き合いなどセレブぶりを誇る嫌味たっぷりな話と、ダイエットなど自虐ネタを混ぜ、羨ましがらせたり、身近なところに降りてきて笑わせたりと上手ぶりをはっきする。
コンビニの店員さんが買った人の年齢ボタンを押す。自他共に若く見えることを誇る林さんが見ていると、店員はしっかり実年齢の50歳代のボタンを押す。ならばと、しっかり化粧して、服装にも気をつけて行ったが、やはり50代。意地になって、ヘアメイク後や、子連れでも寄ったが同じ。
「村上さん」
私の声は震えていたと思う、
「私、ハヤシと申します、あの、随分前に◯◯さんに頼んで、サインをいただいた者です」
「ああ、憶えていますよ」
(村上春樹は、文壇とのお付き合いが皆無だというし、作家の中でも別格のようだ。まあ、いつもの林さんのミーハーぶりを誇る話ではあるのだが)
みんなでカラオケに行ったところ、歌のうまい友人が朗々とラブソングを歌った。思わず聞きほれる女たち。その時、隣に座っていた女性(ヒトヅマ)が言った。
「こういう時、女が頭の中に浮かべるのは、絶対に夫じゃないよね」
初出「週刊文春」2009年1月―12月
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)
いつもの林節で、面白く、気楽にさらりと読めるが、読んだ後、何も残らない。それで、「いいんだか、悪いんだか」。
私は、下にあるように、林さんの本はたくさん読んでいて、ことにエッセイはどれも同じようで、食傷ぎみだ。「こんなままで人生終わって良いんだろうか?」「別に。もともとそれほどのものでもないじゃん」自分で納得。
林真理子の略歴と既読本リスト
おまけに、この本にあったジョークを。
クリントン大統領とヒラリー夫人が、夫人の故郷を通りかかったとき、ガソリンスタンドの経営者が親しげに手を振る。
「昔のボーイフレンドよ」
「へえーよかったね。僕と結婚していなかったら、君はこの田舎町でガソリンスタンドやってる男の奥さんになっていたんだね」
「何言ってるのよ。私と結婚していたら、あの男が大統領になっていたのよ」