伊坂幸太郎著『マリアビートル』2010年9月角川書店発行、を読んだ。
webKADOKAWAの宣伝は、
酒浸りの元殺し屋「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた悪魔のような中学生「王子」に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線〈はやて〉に乗り込む。
取り返した人質と身代金を盛岡まで護送する二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」は、車中で人質を何者かに殺され、また身代金の入ったトランクも紛失してしまう。
そして、その身代金強奪を指示された、ことごとくツキのない殺し屋「七尾」は、奪った身代金を手に上野駅で新幹線を降りるはずだったのだが……。
取り返した人質と身代金を盛岡まで護送する二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」は、車中で人質を何者かに殺され、また身代金の入ったトランクも紛失してしまう。
そして、その身代金強奪を指示された、ことごとくツキのない殺し屋「七尾」は、奪った身代金を手に上野駅で新幹線を降りるはずだったのだが……。
海千山千の個性派殺し屋が総登場する。東京発盛岡行きの東北新幹線〈はやて〉に乗り込んだ殺し屋は、
やることなすことツキに見放されている首折り得意の七尾
機関車トーマス好きと、冷静で小説好きの二人組、檸檬(レモン)と蜜柑(ミカン)
見るからに優等生で大人を愚弄する残酷な中学生、王子慧(さとし)
息子を王子に人質に取られたアル中になった元殺し屋、木村雄一
その他、4、5人の殺し屋が入り乱れ、新幹線の中は死体がゴロゴロ。
『グラスホッパー』の続編になっていて共通の殺し屋も登場するが、前作をとくに読んでいなくても支障はない。
本作は伊坂幸太郎、3年ぶりの書下ろし。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
名著ではなく、傑作とも言えないが、エンタメ(エンターテイメント小説)はこうでなくちゃと、おふざけ系ハードボイルド好きには自信を持ってお薦めできる。10名は居るだろう殺し屋が狭い新幹線の中で殺し合い、嘆きあう。相変わらずのふざけた会話は快調だ。
といっても、
「・・・(ヤドカリは)どうして家ごと移動しているわけ」
「固定資産税を払いたくないからじゃないかな」
「固定資産税を払いたくないからじゃないかな」
「・・・最近はもう、チョッキじゃなくて、ベストって言うんですよ」・・・
「でも、ベストテンのことをチョッキテンと言ったりしたら面白いですよね」
「でも、ベストテンのことをチョッキテンと言ったりしたら面白いですよね」
とこの程度なのだが。
しかし、何かと言うと機関車トーマスを引用する檸檬が最後の方はウザクなるし、人生バカにした中学生の王子にはマジ腹が立ってくる。ちょっとくどいかなとも思う。さらに舞台が狭い新幹線に限られるから爽快感はない。
直木賞狙いで文学に走った道尾秀介に比べ、あくまでエンタメを突っ走る伊坂幸太郎に拍手だ。
伊坂幸太郎&既読本リスト