綿矢りさ著『しょうがの味は熱い』(2012年12月文芸春秋発行)を読
本の話WEBの特設サイトにはこうある。綿矢さんのインタビューも。
「しょうがの味は熱い」
アルバイトしながら家事して半年同棲する奈世(なよ)。相手の絃(ゆずる)は仕事に疲れきって帰宅する。
「自然に、とてもスムーズに」
結局、絃とはもう同棲して3年になる。奈世はこのままではと、思い切った策に出る。サプライズで花とケーキと二人の名を記入した婚約届を用意して待つ。疲れて帰ってきた絃は逃げきれず、さらに追い詰められて・・・。
初出 しょうがの味は熱い:「文學界」2008年8月号、自然に、とてもスムーズに:「文學界」2011年1月号
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
何が何でも結婚して、それからすべてが始まると思い込んだ女性と、電子レンジは使わず湯せんで、カーテンは月一で洗わねばと考える神経質で、先が明確でないと踏み切れない男性が、いつまでもクダクダ言い争う。
話がかみ合わない二人を描いているので、読んでいる方も欲求不満になる。いつものように、細かい描写は丁寧な綿矢さんなのだが、いつまでも狭い世界に閉じこもっていては、今後ますます縮退してしまうし、一方では、詳細な描写のベッドシーン連発でも困るしと、美人に弱いおじいさんは一人悩んでしまう。
綿矢りさ(わたや・りさ)
1984年、京都市生まれ。
2001年、高校生のとき『インストール』で文芸賞受賞、を受けて作家デビュー。
2004年、『蹴りたい背中』で、芥川賞を史上最年少で受賞。
2006年、早稲田大教育学部国語国文学科卒業。
2007年、『夢を与える』
2010年、『 勝手にふるえてろ』
2011年、『かわいそうだね?』
本の話WEBの特設サイトにはこうある。綿矢さんのインタビューも。
微妙な年頃の女性の行き場のない感情を独特の文体と飄々とした可笑しみで描き出す連作集。「しょうがの味は熱い」「自然に、とてもスムーズに」の二篇を収録。「草食系」だけではくくれない、煮え切らない男と煮詰まった女の、現代の同棲物語。とほほと笑いつつ何かが吹っ切れる、未婚/既婚すべての女性、そしてすべての迷える男性に贈る一冊です。
「しょうがの味は熱い」
アルバイトしながら家事して半年同棲する奈世(なよ)。相手の絃(ゆずる)は仕事に疲れきって帰宅する。
なぜ不安や不満は解消されないまま着実に増えるのだろう。すぐ隣で眠る彼女は、いつも絃を見てるよ、と言う。見ているなら気づいてほしいことが、実はたくさんある。ちょっとにぶいんだろうな。情けないから口に出しては言えないが、いろんな面で支えてほしいのに。
「自然に、とてもスムーズに」
結局、絃とはもう同棲して3年になる。奈世はこのままではと、思い切った策に出る。サプライズで花とケーキと二人の名を記入した婚約届を用意して待つ。疲れて帰ってきた絃は逃げきれず、さらに追い詰められて・・・。
毎日同じけんかのフルコースをこなして、最終的には涙をふいて眠りにつくのも、ある意味暗黙の了解のスポーツみたいで、ばからしくもあり不思議。
こうして彼を追いつめるたびに、私は彼のその決して大きくはない小ぶりの愛情のかたまりを、かつおぶしのようにかんなで勢いよくけずっています。でもどうしても、自分を止められないのです。
ただうまくいく確信もないままふみ出すなんて、正しい判断ではない。もしかして彼女は、結婚さえすれば、なにか魔法がかかっていままでの生活がすべて良いほうへ傾くとでも思っているのだろうか。
こうして彼を追いつめるたびに、私は彼のその決して大きくはない小ぶりの愛情のかたまりを、かつおぶしのようにかんなで勢いよくけずっています。でもどうしても、自分を止められないのです。
ただうまくいく確信もないままふみ出すなんて、正しい判断ではない。もしかして彼女は、結婚さえすれば、なにか魔法がかかっていままでの生活がすべて良いほうへ傾くとでも思っているのだろうか。
初出 しょうがの味は熱い:「文學界」2008年8月号、自然に、とてもスムーズに:「文學界」2011年1月号
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
何が何でも結婚して、それからすべてが始まると思い込んだ女性と、電子レンジは使わず湯せんで、カーテンは月一で洗わねばと考える神経質で、先が明確でないと踏み切れない男性が、いつまでもクダクダ言い争う。
話がかみ合わない二人を描いているので、読んでいる方も欲求不満になる。いつものように、細かい描写は丁寧な綿矢さんなのだが、いつまでも狭い世界に閉じこもっていては、今後ますます縮退してしまうし、一方では、詳細な描写のベッドシーン連発でも困るしと、美人に弱いおじいさんは一人悩んでしまう。
綿矢りさ(わたや・りさ)
1984年、京都市生まれ。
2001年、高校生のとき『インストール』で文芸賞受賞、を受けて作家デビュー。
2004年、『蹴りたい背中』で、芥川賞を史上最年少で受賞。
2006年、早稲田大教育学部国語国文学科卒業。
2007年、『夢を与える』
2010年、『 勝手にふるえてろ』
2011年、『かわいそうだね?』