香山リカ著『若者のホンネ 平成生まれは何を考えているのか』(朝日新書378、2012年12月朝日新聞出版発行)を読んだ。
宣伝文句はこうだ。
平成生まれの大卒社員が社会人になった。中高年の多くが「最近の若者は何を考えているのかわからない」という悩みを抱えている。若者に特有のプライドとは何か、コンプレックスとは、恋愛や人間関係とは……「学歴」「お金」「睡眠」「勉強」「責任」「自分みがき」「いじめ」「遊び」「涙」「友達」「環境」「仕事」「クルマ」「平和」「ブランド」「結婚」など40のキーワードを元に精神科医で立教大学教授の著者が、中高年と若者の心理の違いを綴った10年ぶりの若者論。
「昔は『とりあえず生ビールを人数分ね』などと言ったものだが、いまはひとりひとりがメニューをじっくり見ながらそれぞれ飲みたいものを決め、ひとりひとり注文する。」
「深いかかわりはしたくないし、ただ群れているのはムダだとわかっていても、とりあえずひとりでいなくてすむくらいの友だちはほしい」
「四六時中、友だちや知人のブログやツイッターなどをチェックし、・・・いつも『メールしたのに返事がない。嫌われているのかな?』『ツイッターでつぶやいても誰もレスしてくれない。ついに“ぼっち”になったか』などとまわりの仲間の顔色を気にしながら暮らす・・・」
新型うつの人は、「『遊び』なら緊張もせずに不安にも駆られずに取り組むことができるが、いざ『仕事』となるといきなりハードルがあがって、手も足も出せなくなる。」
今どきの若者は、生きづらい世の中を、無難に、なんとか生き抜くことを第一とし、合理的に考えているようだ。
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
この本読んで「最近の若者は元気ない年寄りみたいだ」と、昔々の怒れる若者、今はキレる爺さんの私は思う。でもこんなおとなしすぎる若者を作ったのは、我々の作った世の中であり、大切にと育てた親たちなのだ。
特に、母親が家庭内で父親をのけ者にして、女系家族で子供を育てた罪は重い。と、とばっちりを飛ばして、こんなところで憂さ晴らし。
香山さんも精神科医なら、学生がああいった、こういっただけでなく、そのよって立つところをもう少し分析して欲しい。
若手社会人へのアンケート調査で、4割が「出世したくない」と答えたそうだ。まだ4割かよ、と私は思う。私など50年前から、たいして給料も違わないのにいやな仕事が増える偉いさんなどになりたくないと思っていた。こんなこと言うと、負け惜しみバレバレだが。
香山リカは、1960年北海道生まれ。東京医科大学卒。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。学生時代から雑誌などに寄稿。その後も、臨床経験を生かして、新聞、雑誌などの各メディアで、社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍。
それにしても、香山さん、書き過ぎです。
『おとなの男の心理学』
『<雅子さま>はあなたと一緒に泣いている』
『雅子さまと新型うつ』
『女はみんな『うつ』になる』
『精神科医ですがわりと人間が苦手です』
『親子という病』
『弱い自分を好きになる本』
『いまどきの常識』
『しがみつかない生き方』
『だましだまし生きるのも悪くない』
『人生の法則』