hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

カルロ・ロヴェッリ『すごい物理学講義』を読む

2017年11月18日 | 読書2

 

 カルロ・ロヴェッリ著、竹内薫監修、栗原俊英訳『すごい物理学講義』(2017年5月20日河出書房新社発行)を読んだ。

 

 原題の日本語訳は「現実は目に映る姿とは異なる」(この題名もひどい)で、2014年にイタリアで刊行された。

 

 

 以下、雰囲気だけ。

 

 「超ひも理論」が描く世界が「連続的」であるのに対し、「ループ理論」が描く世界は「離散的(粒状)」である。

 

 相互作用を与え合っていないとき、電子はどこにも存在しない。事物が存在するのは、ある相互作用から別の相互作用へ跳躍するときだけである。量子論は、ある物理的な系でなにが起きているかではなく、ある物理的な系が別の物理的な系にどのような影響を与えているかのみを描写する。(p138)

 

 ループ量子重力理論は、一般相対性理論と量子力学を、細心の注意を払いつつ結びつけようとする試みである。

 

 物理的空間も、場である以上は、量子からできている。量子重力場(つまり空間)もまた、ほかの量子場を特徴づけているのと同じ粒状構造によって特徴づけられる。「空間の量子」が存在するという予測を立てることができる。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 この本は、超ひも理論と並んで本命視されている「ループ量子重力理論」を解説する貴重な本と聞いて読んでみたのだが、ギリシャ哲学の話、物理の歴史などそれ以外の話が多く、私には冗長だった。また、数式をほとんど使わない説明はかえって難しかった。

 

 ループ理論では物質も空間も、時間さえもが「粒」であると考えるからと言って、すべては「粒」からできていると言ったデモクリトスの話を延々とする必要があるのか。アインシュタインの「三次元球面」がダンテ「神曲」の描く宇宙像に一致している(第3章)は、私には両者ともチンプンカンプンで、読み飛ばす以外なかった。

 

 

カルロ・ロヴェッリ Carlo Rovelli
1956年、イタリアのヴェローナ生まれ。ボローニャ大学で物理学を専攻、パドヴァ大学の大学院に進む。その後、ローマ大学や米国のイェール大学、イタリアのトレント大学などを経て、米国のピッツバーグ大学で教鞭をとる。現在は、フランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で、量子重力理論の研究チームを率いている。

専門は《ループ量子重力理論》で、この分野の第一人者。理論物理学の最先端を行くと同時に、科学史や哲学にも詳しく、複雑な理論をわかりやすく解説するセンスには定評がある。本書は「メルク・セローノ文学賞」「ガリレオ文学賞」を受賞して一躍脚光を浴び、その1年後に『世の中ががらりと変わって見える物理の本』(小社)を一般向けに刊行してベストセラーとなった。

 

竹内薫 (たけうち・かおる)

1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科、マギル大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。長年、サイエンス作家として科学の面白さを伝え続ける。NHK「サイエンスZERO」の司会など。

栗原俊秀 (くりはら・としひで)

1983年生まれ。翻訳家。京都大学総合人間学部、同大学院人間・環境学研究科を経て、カラブリア大学文学部専門課程近代文献学コース卒業。アバーテ『偉大なる時のモザイク』で第2回須賀敦子翻訳賞を受賞。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする