監修加藤晋介、編著コンデックス情報研究所『改正著作権法がよくわかる本』(2017年9月20日成美堂出版発行)を読んだ。
著作権の概要は承知しているが、その復習と、TPP関連での改正点(このまま決まるとは思えないのだが)を知るために読んだ。
第1章 著作権法って何だろう?
著作権:著作財産権と著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)がある。
共同著作物:各人の寄与を分離して個別的に利用することができない著作物。利用許諾、著作権譲渡には共有者全員の合意が必要
第2章 著作者にはどんな権利があるの?
第3章 著作権はいつ発生していつ消滅するの?
著作権保護期間は従来の著者死亡後50年から70年に延期された。(TPP協定締結による)
期間の計算:死亡・公表・創作した日が属する年の翌年の1月1日から起算する。
第4章 無断で著作物を利用できることもある?
写真等の撮影、録画、録音の際に写り込んだり収録されたりした「付随対象著作物」は、「分離困難性」、「軽微性」、「著作権者の利益を害しない」場合に限り、利用することを認めている。
第5章 著作物を世に広める人にも権利が与えられる?
出版契約で定めなかった場合は、出版権は最初の出版から3年経過した日に消滅する。
第6章 著作権が侵害されたら?
著作権侵害の基準は、依拠性、類似性、無権原である。
依拠性は、新たな著作物が既存の著作物を「拠り所にした」、「参考にした」と言える場合に限る。
類似性は、本質的特徴を直接感得できることをいう。
無権原とは、利用者に正当な権原(けんげん、法律上の原因)がない場合に限る。
アクセスコントロールを権原なく回避する行為(例えばコピープロテクトを外す)を、著作権等を侵害する行為とみなすこととした。(TPP協定締結による)
配信音源(インターネット配信)の二次使用にも報酬請求権が発生するようになった。(TPP協定締結による)
著作権侵害は、従来は親告罪(告訴がなければ起訴できない)であったが、条件を満たす場合は非親告罪となり、摘発できることとなった。(TPP協定締結による)
巻末資料 著作権法条文集
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
図が多く、分かりやすいことは分かりやすいのだが、肝心のTPP関連が締結できるかどうかが不明だ。著作権関連は米国のごりおし項目なので、米国を除いた国々で凍結項目になった(と思う)ので、今後、国内法でどうなるのだろうか。
加藤/晋介
1979年司法試験合格、1980年東京大学法学部卒業。1982年弁護士登録。
1984年辰已法律事務所開設。専修大学エクステンションセンター非常勤講師