東野圭吾著『天空の蜂 新装版』(2015年6月16日講談社発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
超大型ヘリ「BIG-B」が乗っ取られた。無人操縦で飛行するヘリに搭乗しているのは一人の少年。ホバリング位置は原子炉の真上。国内すべての原発を使用不可にしなければ、エンジンは停止し落下する――日本国民全員を人質にしたテロが始まった。
怒濤のクライムサスペンスの金字塔を、豪華新装版でお届けします。
錦重工業の試験飛行場から、軍用の巨大ヘリコプター「ビッグB」が乗っ取られた。「ビッグB」は自動運転かので、テロリスト「天空の蜂」に制御され、遠隔操縦によって高速増殖炉「新陽」の上空に停止された。
稼動中の原発の発電タービンを全て破壊せよ、さもなくば巨大ヘリを「新陽」に墜落させるとの脅迫状が日本政府へ届いた。燃料切れまでは8時間ほどで、しかも機内には見学の子供が潜り込んでいた。
本書は、書き下ろしで1995年発売の『天空の蜂』の新装版
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
20年以上前に原発問題をテーマにした東野さんに敬意!
ただ、原子力発電(高速増殖炉もんじゅ)の細かな内容説明が、本筋には関係ないのに多すぎる。「わかっよ。よく調べたことはもうよくわかったから勘弁して」という感じ。
それにしても、これだけ原発について書いていて、賛成、反対の立場を鮮明にしないのは、さすが作家という商売に徹する東野さん。
まあ、たとえ原発が悪の権化だとしても、忌み嫌われながらも運営や研究に実際従事する人たちにはご苦労さんと言っている東野さんの気持ちには私も賛同したい。廃炉にするにも研究や長期間の運営が必要で誰かが従事しなくてはならないのだから。大学の学科名からも「原子力」の文字が消えて、「エネルギー」などに変わっているのも、技術継承の点から心配だ。
子供がいなくなったヘリは、かなり上空にあるようなので、砲撃してバラバラにしてしまえばよいと思ったのだが、なぜまったく検討しないの?
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登場人物
錦重工業㈱航空機事業本部(新型ヘリを開発)
湯原:開発責任者、入社16年、妻は篤子、息子は高彦。 山下:湯原の同僚、妻は真知子、息子は恵太(9歳)。
赤嶺淳子:エンジン開発一課、
高速増殖原型炉「新陽」
中塚:高速増殖炉「新陽」発電所所長
三島:錦重工業㈱プラント開発事業本部原子力機器設計課の技術者
福井県 金山:県知事
福井・愛知県警 木谷:刑事部長、今枝:警備部長、高坂:捜査一課刑事、室伏:刑事、
自衛隊 上条:航空自衛隊救難員、雑賀(さいか):元自衛隊員