角田光代著『銀の夜』(2020年11月30日光文社発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
イラストレーター井出ちづる。夫は若い女と浮気をしている。嫉妬はまるで感じないがそんな自分に戸惑っている。早くに結婚して母となった岡野麻友美。自分ができなかったことを幼い娘に託し、人生を生き直そうとする。帰国子女で独身の草部伊都子。著名翻訳家の母のように非凡に生きたいと必死になるが、何ひとつうまくいかない。三人は女子高時代に少女バンドを組んでメジャーデビューをした。人生のピークは十代だったと懐かしむ。三十代となったこれからの人生に、あれ以上興奮することはあるのだろうか……。
「これは、私たちにとってやり遂げなくてはならない何かなのだ」
中学が同じで、高校で一時華やかなバンド・ディズィの仲間となった3人の女性の友情物語。35歳になり、40歳になるまでに充実感、達成感を実感できるようになりたいと、自分探しをする
登場人物
井出ちづる:ちーちゃん。旧姓片山。それほどではないイラストレーター。夫・寿士(ひさし)は浮気。
岡野麻友美:旧姓井坂。早く結婚し、幼い娘・ルナに期待。
草部伊都子:イッちゃん。美人で冷静。母・芙巳子(ふみこ)のように非凡に生きたいと願う。
井出寿士:ちづるの夫。技術翻訳の事務所を経営。若い進藤ほのかと浮気をしている。
草部芙巳子:有名な翻訳家。シングルマザーで伊都子を育てた。
宮本恭市:伊都子の写真を評価するフリーの編集者。
岡野賢太郎:麻友美の夫。イベント企画会社を創業。
中村泰彦:ちづるの絵を展示しようとするカフェ兼ギャラリー経営者。
「あとがき」に角田さんが以下のようなことを書いている。
2017年暮れの大掃除で、覚えのない原稿が出てきた。しかし、登場する女性たちは幼稚でちょっと馬鹿みたいで、彼女たちよりずっと大人になった私が直すわけにはいかない。全部書き直すことになるだろう。彼女たちは彼女たちとして私と無関係のところで生きているように感じた。
初出:「VERY」2005年7月号~2007年6月号の「銀の夜の船」を改題。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの? 最大は五つ星)
余裕ある暮らしの30代女性が自分探しするよくある話であり、自分をしっかり持っていないで、フラフラする。変な男に簡単に引っ掛かってしまい、馬鹿ぶりにイライラする。角田さんの意図がわからない。