平間俊行著『カナダの謎 なぜ『赤毛のアン』はロブスターを食べないのか?』を読んだ。
宣伝文句は以下。
知らなかったカナダの魅力を、深く、わかりやすく楽しむ。この本を読むと、絶対にカナダに行きたくなる!
カナダというと大自然のイメージが強いが、実は先住民の時代からヨーロッパ人との出会いを経て、今日に至るまで重厚な歴史をもつ。一方で、大国でありながら世界に名の知れた英雄をほとんど輩出することもなく、それでいて国際的には非常に評判が良い。なぜそんな不思議で魅力的な国が生まれたのか、どのように育ってきたのかを、カナダに魅了されたカナダマニアの著者が、豊富なビジュアルとわかりやすいテキストで紹介する。
表題「なぜ『赤毛のアン』はロブスターを食べないのか?」の答え
昔ロブスターは腐るほどとれて、畑の肥料にした時もあった。イギリス系の人からはロブスターは貧しいフランス系漁師が食べるものとされていた。『赤毛のアン』の著者・モンゴメリーはスコットランド系なのでロブスターは登場しない。
スコットランドからの移民のマッキントッシュさんが森に自生する新種のリンゴを見つけ、そのリンゴの名前が「マッキントッシュ」になった。
カナダは3段階の主要産業により発展していった。
第一は、帆船時代の航海を支えた軽くて保存が効く干し塩タラ(コッド)。
第二は、西からやってきたロシアによるラッコの毛皮取りと、東から西に向かったヨーロッパ人のビーバー狩り。当時、ヨーロッパでは高級帽子の材料としてビーバーの毛皮が求められていた。
第三は、ウクライナ人をはじめとする移民が労苦の末に開拓したプレーリー(Prairie大平原)の小麦。
目次
誰も知らない「宝物」
1章 赤毛のアンの謎
2章 先住民の謎
3章 カヌーの謎
4章 タラの謎
5章 ロッキーの謎
6章 トーテムポールの謎
7章 カウボーイの謎
8章 小麦畑の謎
9章 アイスロードの謎
10章 ワインの謎
■データ集
カナダがよくわかるマップ(先住民/開拓/野生/動物/絶景/世界遺産/グルメ/博物館)
カナダ1000年年表
まだまだあるカナダの謎(クイズ)
参考文献
あとがき
各章の最後には「マニアックなカナダ旅」
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
解り易い内容で、写真も多く楽しめる。
東と西、そして北に広がるカナダ全体をこの小冊子で理解するのはもともと無理だ。そこで10個の謎だけに答える形をとっている。しかし、この謎の設定がカナダには何回も訪れている私から見ると、多少ずれていると思える。(私のこのブログでカナダ訪問記は、カナダ東部(19)、バンクーバー(72))
私に言わせれば、米国のすばらしいところはそのままに、嫌味なところを取り去ったのがカナダだ。暴力的でない、傲慢でない、不健康でない、他文化に無理解でない、‥‥。豊かな自然、おおらかな人柄、自由な雰囲気、‥‥。
平間俊行(ひらま・としゆき)
ジャーナリスト。1964年、宮城県仙台市生まれ。報道機関での勤務のかたわら、2013年から本格的なカナダ取材を開始。歴史を踏まえたカナダの新しい魅力を伝えるべく、Webサイトや雑誌などにカナダの原稿の寄稿を続ける。
2014年7月『赤毛のアンと世界一美しい島』(マガジンハウス)、2017年6月『おいしいカナダ 幸せキュイジーヌの旅』(天夢人)を出版。