私がスマホを購入させられたのは昨年の9月下旬で、それまでケータイを所有したことがない私は、買っても利用しないつもりだった。
しかしあればあったでやはり利用する。何かというと、ヒマつぶしに見てしまう。
しかしこのスマホ、「明かり」が超強烈で、暗い部屋でスマホを点けると、部屋中がパアッと明るくなるほどだ。そのせいで、私はずいぶん眼が悪くなった。
このスマホでよく見るのが将棋の無料中継だ。
いまでは仕事場にスマホを持ち込んで、仕事の合間にちょくちょく覗く有様。もっと仕事に精を出せよ。まったく我ながら、人間のクズだと思う。
こんな感じで、今月6日(金)も、携帯中継を見た。2局あって、1局は竜王戦本戦トーナメント・藤井猛九段VS豊島将之七段。もう1局は女流王座戦・清水市代女流六段VS中村桃子女流1級である。
序盤の進行を見ると、先番藤井九段and中村女流1級が四間飛車に振っていた。
現在プロ棋界ではゴキゲン中飛車や横歩取り、一手損角換わりなどが全盛だが、私などは四間飛車VS居飛車の戦いが最も参考になるし、おもしろい。
この2局、居飛車の作戦が注目されたが、清水女流六段は天守閣美濃。豊島七段は△5二金右~△5三銀とし、まだ態度を明らかにしていなかった。
清水女流六段、28手目に△1二玉。30年近く前に大流行した「米長玉」である。しかし私見だが、この段階で△1二玉を決めるのは早すぎないか。私がむかし見た米長玉は、右銀を3三まで持っていき、そのあとに手詰まり解消の意味も含めて△1二玉と落ちていた。
36手目△4二銀。この瞬間、後手の陣形は「△1二玉・2二角・2三銀・3二金・4二銀・5二金」である。これでいいのか? もう、この扁平な金銀の配置だけで、私は拒否反応を起こしてしまう。
同じ四枚美濃を組むにしても、それなりの手順があると思うのだ。本局、これが正しい手順…いや、美しい手順とは思えない。
竜王戦は、藤井九段の▲3六歩を見て、豊島七段は△8五歩~△7四歩と急戦を採った。ここから戦いになれば、▲3六歩が指さずもがなになるわけで、機敏な選択だったと思う。
女流王座戦は、銀冠対四枚美濃の戦いになっていた。ガップリ四つだが、やや振り飛車側に工夫がなかった気もする。
▲6九飛に、△8六歩。▲同歩は△8八歩▲同角△8六飛だから▲8六同角だが、△7五歩と味よく突いて、もう先手難局である。銀桂が攻めに参加せず、歩の突き捨てと突きだしだけで、手になってしまった。本当に将棋は恐ろしいと思う。
しかしこれで居飛車が優勢になるなら、何と将棋は簡単な競技か。
それはともかく、清水女流六段この時点で、もう勝ったと思っただろう。
竜王戦、豊島七段は△(右)6四銀から△7五歩。手順は違うが、昨年の竜王戦6組、大野八一雄七段と伊藤真吾四段の一戦を思い出した。
以下角交換を挟み数手を経て、△5五銀。藤井九段は▲8三角。関西の小阪昇七段が初めて指したから「小阪新手」と呼ばれるが、振り飛車側が無理している感じだ。
女流王座戦、グズグズできない中村女流1級は端から動いていくが、清水女流六段に8九の桂を取られ、△1三銀と落ち着かれてみると、二の矢がない。
▲2六銀と立ったが、後手から△2六歩と叩きたいところを自ら銀を上がるようでは、中村女流1級、もういけない。
以下は清水女流六段の手厚い指し手を鑑賞するばかり。じっと△1六歩と伸ばす手など、その指し手は盤石だった。134手まで、清水女流六段の勝ち。指し手は長いが、まったく逆転の目はなかった。
竜王戦は、39手目▲8五銀に、馬を取れと△7六馬の鬼手が出た。やむない▲同銀に△7四飛と飛車が生還できては、やはり居飛車を持ちたい気分だ。
以下も見ごたえのある攻防が続くのだが、振り飛車側はつねに▲3九玉型がネックになっていて、強い戦いができない。
最後は△4九竜と金を取られたところで、藤井九段の投了となった。
本局、豊島七段の寸分の狂いもない、完璧な指し回しに感嘆した。居玉での▲4六歩~▲3六歩には急戦に出て、先手の玉の囲いを中途半端にする。よくても▲3九玉までだから、そこで飛車を下ろして、持ち角で▲5八金を狙う。実に論理的な指し回しである。
本局は、藤井システム撃破の決定版が誕生した気がする。
こんなわけで6日は、四間飛車は災難だった。私は居飛車のほうが勝率がいいが、指していて振り飛車のほうが楽しい。よってこの2局、四間飛車側が急戦・持久戦とも、序盤から形勢が芳しくなかったというのは、少なからずショックだった。
もう、四間飛車は勝てないのだろうか。
しかしあればあったでやはり利用する。何かというと、ヒマつぶしに見てしまう。
しかしこのスマホ、「明かり」が超強烈で、暗い部屋でスマホを点けると、部屋中がパアッと明るくなるほどだ。そのせいで、私はずいぶん眼が悪くなった。
このスマホでよく見るのが将棋の無料中継だ。
いまでは仕事場にスマホを持ち込んで、仕事の合間にちょくちょく覗く有様。もっと仕事に精を出せよ。まったく我ながら、人間のクズだと思う。
こんな感じで、今月6日(金)も、携帯中継を見た。2局あって、1局は竜王戦本戦トーナメント・藤井猛九段VS豊島将之七段。もう1局は女流王座戦・清水市代女流六段VS中村桃子女流1級である。
序盤の進行を見ると、先番藤井九段and中村女流1級が四間飛車に振っていた。
現在プロ棋界ではゴキゲン中飛車や横歩取り、一手損角換わりなどが全盛だが、私などは四間飛車VS居飛車の戦いが最も参考になるし、おもしろい。
この2局、居飛車の作戦が注目されたが、清水女流六段は天守閣美濃。豊島七段は△5二金右~△5三銀とし、まだ態度を明らかにしていなかった。
清水女流六段、28手目に△1二玉。30年近く前に大流行した「米長玉」である。しかし私見だが、この段階で△1二玉を決めるのは早すぎないか。私がむかし見た米長玉は、右銀を3三まで持っていき、そのあとに手詰まり解消の意味も含めて△1二玉と落ちていた。
36手目△4二銀。この瞬間、後手の陣形は「△1二玉・2二角・2三銀・3二金・4二銀・5二金」である。これでいいのか? もう、この扁平な金銀の配置だけで、私は拒否反応を起こしてしまう。
同じ四枚美濃を組むにしても、それなりの手順があると思うのだ。本局、これが正しい手順…いや、美しい手順とは思えない。
竜王戦は、藤井九段の▲3六歩を見て、豊島七段は△8五歩~△7四歩と急戦を採った。ここから戦いになれば、▲3六歩が指さずもがなになるわけで、機敏な選択だったと思う。
女流王座戦は、銀冠対四枚美濃の戦いになっていた。ガップリ四つだが、やや振り飛車側に工夫がなかった気もする。
▲6九飛に、△8六歩。▲同歩は△8八歩▲同角△8六飛だから▲8六同角だが、△7五歩と味よく突いて、もう先手難局である。銀桂が攻めに参加せず、歩の突き捨てと突きだしだけで、手になってしまった。本当に将棋は恐ろしいと思う。
しかしこれで居飛車が優勢になるなら、何と将棋は簡単な競技か。
それはともかく、清水女流六段この時点で、もう勝ったと思っただろう。
竜王戦、豊島七段は△(右)6四銀から△7五歩。手順は違うが、昨年の竜王戦6組、大野八一雄七段と伊藤真吾四段の一戦を思い出した。
以下角交換を挟み数手を経て、△5五銀。藤井九段は▲8三角。関西の小阪昇七段が初めて指したから「小阪新手」と呼ばれるが、振り飛車側が無理している感じだ。
女流王座戦、グズグズできない中村女流1級は端から動いていくが、清水女流六段に8九の桂を取られ、△1三銀と落ち着かれてみると、二の矢がない。
▲2六銀と立ったが、後手から△2六歩と叩きたいところを自ら銀を上がるようでは、中村女流1級、もういけない。
以下は清水女流六段の手厚い指し手を鑑賞するばかり。じっと△1六歩と伸ばす手など、その指し手は盤石だった。134手まで、清水女流六段の勝ち。指し手は長いが、まったく逆転の目はなかった。
竜王戦は、39手目▲8五銀に、馬を取れと△7六馬の鬼手が出た。やむない▲同銀に△7四飛と飛車が生還できては、やはり居飛車を持ちたい気分だ。
以下も見ごたえのある攻防が続くのだが、振り飛車側はつねに▲3九玉型がネックになっていて、強い戦いができない。
最後は△4九竜と金を取られたところで、藤井九段の投了となった。
本局、豊島七段の寸分の狂いもない、完璧な指し回しに感嘆した。居玉での▲4六歩~▲3六歩には急戦に出て、先手の玉の囲いを中途半端にする。よくても▲3九玉までだから、そこで飛車を下ろして、持ち角で▲5八金を狙う。実に論理的な指し回しである。
本局は、藤井システム撃破の決定版が誕生した気がする。
こんなわけで6日は、四間飛車は災難だった。私は居飛車のほうが勝率がいいが、指していて振り飛車のほうが楽しい。よってこの2局、四間飛車側が急戦・持久戦とも、序盤から形勢が芳しくなかったというのは、少なからずショックだった。
もう、四間飛車は勝てないのだろうか。