一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

18日の公式戦3局

2012-07-21 01:30:17 | 将棋雑記
18日(水)の無料中継は3局。朝日杯将棋オープン戦・熊坂学五段×中井広恵女流六段、女流王座戦・上田初美女王×岩根忍女流二段、同・本田小百合女流二段×伊藤沙恵奨励会1級である。勝敗予想は△熊坂、△上田、◎伊藤とした。
熊坂-中井戦は、これが公式戦4局目。新人四段orフリークラス棋士と女流棋士の対戦はよく組まれるが、4局目はめずらしい。本棋戦では3年前に当たり、中井女流六段が勝利を収めている。このときは相矢倉で、後手の中井が攻め倒した。よって、本局の勝敗予想も、熊坂の「△」としたわけだ。
本局は中井の先手で▲2六歩△3四歩▲7六歩△4二飛。ここで中井はムッとしたはずだ。(いまや定跡化されているけれど)角道を止めないで四間飛車にするの? と。
さらに8手目、振り飛車側から角交換に出た。さらに中井はアツくなった。(いまや定跡化されているけれど)振り飛車側から角交換をするの? と。
こういう棋理にない手を、中井は嫌う。以前私と中井の指導対局で、私が矢倉早囲いを試みたら、中井が「(その図々しい指し方を)咎めてやりたい…」とつぶやき、ゾゾーッとしたことがある。
左美濃を得意とする中井としては、8八銀型を強要されるのが不愉快でもあった。相当カリカリきたに違いない。
上田-岩根戦は、予想外の相振り飛車。最近は居飛車も多用している上田、本局は対抗形で臨むと思っていた。
本田-伊藤戦は、先手伊藤が角交換に誘導して、銀冠を構築した。プロは銀冠が好きだが、それは奨励会員でも変わらない。
本田は着々と金銀を盛り上げる。清水市代女流六段を思わせる指し回しだ。
熊坂-中井戦の朝日杯は、持ち時間が40分だからどんどん進む。桂交換後の▲3七角が中井期待の一着だったが、△4四歩に▲5五角はどうだったか。対して△4三桂が味わい深い一手で、ここで形勢が開いたようだ。
▲5五角では、▲1五角と出てみたかった。
上田-岩根戦は、美濃囲い対金無双。戦いはこれからだ。
本田-伊藤戦は、お互い角を持ってじっくりした戦い。
熊坂-中井戦は、中井がいよいよ苦しい。優勢になってからの熊坂は勝ちを急がず、丁寧に先手のめんどうを見る。12時9分、ついに中井投了。角換わり四間飛車の快勝譜だった。
上田-岩根戦は、岩根が▲4六角と据える。△1三香取りと▲7四歩を見た好着に見えたが、上田の△2六歩がうまい切り返しだった。
やむない▲同歩に△同飛▲2七歩△4六飛と急所の角を外されて、岩根の思惑も外れた。
飛車を手にした岩根は▲2二飛と△4二金取りに打つが、ここは▲1二飛と△1三香取りにも当てたいところ。この飛車打ちは2筋の守りにも利かせた手だが、これでは岩根がつらくなった。
上田は好点に△5五角。つづく△3六歩のコビン攻めが厳しかった。俗に飛車道は止めやすく角道は止めにくしというが、これはその典型。
▲3六飛に△4五銀と厚くされ、再度の△3六歩で、先手は受けがなくなった。
以下、上田の勝ち。上田は大二冠に向けて、好スタートを切った。
本田-伊藤戦は、本田が敵陣に馬を作り、さらに△5八歩からと金を製造して好調。
現役奨励会員の伊藤に対する私の信用度は高いが、ここまで本田がうまく指している。
本田、△6三歩とと金を払う。しかしここは、△8六歩▲同銀と銀を上ずらせたのち、飛車角交換から馬も切って△7八角と迫る手があった。
強豪相手に1度チャンスを逃すと、次はなかなか巡ってこないものだ。事実伊藤が▲5三歩成を利かし▲8六歩とキズを消したのがいい辛抱で、△6四歩の銀取りにも▲5四歩△5二金から▲6四銀と生還できては、一遍に先手を持ちたくなった。
しかしそこからの本田の指し手が敵確で、本田が徐々に差を拡げてゆく。そして最後は大差の勝利。本田には甚だ失礼ながら、まさか本田が勝つとは思わなかった。
しかし本田の勝ち急がない指し方は圧巻で、何度も書くが、清水女流六段の将棋を見ているかのようだった。
この将棋や熊坂の将棋を見ていると、どうも将棋というのは、勝ち急がないのがいいようだ。
そして、もうひとつハッキリしたこと。どうも女流棋士の棋力は、私が想像しているよりも上だ、ということが分かった。
女流王座戦本戦の2回戦は、きょうの勝者、上田と本田が激突する。これも見逃せない一戦になりそうだ。
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