今年も社団戦の季節がやってきた。といっても、私は2011年の参加を最後に社団戦には出ていない。今年も出るつもりはなかったのだが、第1日目の6月26日が渡部愛女流初段の誕生日であることに、23日(木)に気付いた。
LPSAは社団戦にブースを出展している。渡部女流初段も出席予定で、これは誕生日にプレゼントを渡せる貴重なチャンスである。ああ、社団戦に参加するしかない!
24日(金)夜にFuj氏へ参加希望のメールを出すと、何とか認めてくれた。それで渡部女流初段へのプレゼントを買うべく、私は25日(土)に新宿へ出向いたわけである。
プレゼントを買うなら伊勢丹と決めている。当日は私と同じプレゼンターがいるだろうから、贈り物は小物がいい。それで高級ボールペンに決めた。
事前の調べでは、シャレたデザインのものがあったのだが、ステーショナリー売り場に行くと、それがない。他のデザインで妥協したくなかったのでここは諦め、別の売り場を見て回った。
シャレたデザインのポーチが売られていたのだが、値札がない。これは縁がなかったと諦めて、今回は甚だ異例ながら、駅反対側の京王百貨店に行ってみることにした。
東口駅前の広場ではお茶のペットボトルの無料配布をやっていた。まさか東京で「配給」に遭遇するとは思わなかったが、運のいいことである。行列に並んで「伊藤園の濃い茶」をいただいた。これを明日の飲み物にしよう。
京王5階のステーショナリー売り場には、シャレた形のボールペンがあったので、これを購入した。さらに婦人服売り場に下りると、シャレたバッグがあった。先日の将棋ペンクラブ関東交流会で、渡部女流初段が着ていたワンピースにイメージが似ていたので、これも購入した。
結局、また大荷物になってしまった。
26日当日である。私は前夜からなかなか寝付けず、朝早くに目が覚めた。やはり多少の緊張があったのだろう。
社団戦会場は、今年から浅草の「産業貿易センター台東館」で行われる。浜松町よりは近いが、上野で地下鉄に乗り換える手間を考えると、時間的にはあまり変わらない。
ただ、上野から3駅で165円も出すのがシャクに障るので、自宅最寄り駅から出る路線バスに乗っていくことにした。
駅前からバスに乗るのは10数年振りだ。その前となると小学生の時に眼科へ通院していたころまでプレイバックしてしまう。
駅前からの浅草行きは、わりと多くの本数が出ていた。始発だから座っていけたが、乗客は多い方だ。
バスは私が何度も歩いた道を行く。しかし視界が高くなっているので新鮮だ。これはある種の発見で、今度ヒマができたら、都バスの1日乗車券でも買って、都内をプチトリップしてみたい。
10数分で現場近くに着いた。浅草二丁目で降り、しばらく歩く。高い建物があり、そこが産業貿易センターだった。
ひっくり返ったのは、その真ん前に二天門バス停があったこと。さっきのバスの1つ先が、ここだったのだ。
さて私が所属するのはもちろん、「大野教室」である。今年から2チームに増えたが、何かの手違いで、ともに6部になってしまった。
うち1つの監督には、Fuj氏が就任した。Fuj氏、前回は「星組2008」の所属で見事3部に昇級したのに、そこでの対局を蹴って移籍したのだ。人としてどうなのかという気もするが、私が言える立場ではない。
建物に入って若干迷う。とりあえず10階に上ったが、違う。1階に戻ると某氏に会い、5階が対局会場と分かった。
5階は多くの選手で賑わっていた。しかしまだ準備はできていない。この階は5部と6部用。4部以上と各将棋ブースは4階である。私の高校は男子クラスと共学クラスがあり、その一部は鉄扉で隔離されていて、私たち男クラ生徒は悔しい思いをした。今回の措置も、その臭いがする。
まあよい、目立たないながらも、6部は6部なりの戦いをするだけだ。
まずは渡部女流初段への贈り物である。4階に下りると中倉宏美女流二段、蛸島彰子女流五段、渡部女流初段の姿があり、渡部女流初段にプレゼントを渡した。
これで私の任務は終了である。よく考えたら、これで帰宅しても構わないわけだ。何しろ、眼下のバスに乗れば、労せずして自宅付近に着けるのだ。
まあさすがにそれはしない。
将棋ペンクラブのKan氏に会った。Kan氏は今年から幹事になった、信頼のおける人である。ペンクラブは今年休戦の噂もあったが、6部で参戦している。
「大沢さんが社団戦に出るウワサが流れていて…(本当だったんですね)」
私は恐縮するのみである。
やがてFuj監督をはじめ、各選手と合流して、緊張感が高まってきた。
O氏の顔があった。氏は新宿機動部隊の主力選手だが、今年は5部で参加するという。O氏ほどの実力なら、もっと上のクラスで指さないとダメだろう。
ちなみに同じチームのKun氏は大野教室に移籍した。氏と同チームで指せるとはうれしい。
将棋ペンクラブのA氏にも会う。午前の1回戦は1人足らず、1不戦敗が決まっているという。それで思ったのだが、私はこちらから出てもよかったのだ。何しろ大野教室よりも(LPSA)星組よりも前から、同団体にはお世話になっているのだから。
私はFuj監督に参加費を納める。1回参戦も5回参戦も同じ納入額は少々合点がいかないが、やむを得ない。
盤駒と対局時計が到着し、着々と準備が整えられていく。
大野教室は有段チームと級位チームに分かれる。私は前者で、1回戦は大将で指すことになった。抜け番はKoh君。それはいいが、付き添いがKoh君のおじいちゃんなのはどういうことか。福田沙紀似の美人ママが来るという話だったが、釣りだったのか!?
テーブルに盤駒と対局時計が載り、私たちは席に着く。1回戦の相手は、「天野チルドレン3」。天野貴元氏がプロデュースしたチームだ。ここでは6部だが、上位は元奨励会三段を大量に集め、つねに優勝候補になっている。そのやり方に私は異を唱えるものだが、それをここで論じても詮無い。
対局に先立ち、所司和晴七段の挨拶。「えー、ボソボソ、えー、ボソボソ、えー、えー…」。
続いて、中倉宏美LPSA代表理事の挨拶。「今年もブースを出しています」。
最後に、主催者関係代表から挨拶。「お弁当云々…」。
いよいよ対局である。振り駒の結果、「奇数先」。すなわち、私は先手になった。みなで一礼して、私は▲7六歩。もう指すことがないと思っていた、5年振りの一手だった。
(つづく)
LPSAは社団戦にブースを出展している。渡部女流初段も出席予定で、これは誕生日にプレゼントを渡せる貴重なチャンスである。ああ、社団戦に参加するしかない!
24日(金)夜にFuj氏へ参加希望のメールを出すと、何とか認めてくれた。それで渡部女流初段へのプレゼントを買うべく、私は25日(土)に新宿へ出向いたわけである。
プレゼントを買うなら伊勢丹と決めている。当日は私と同じプレゼンターがいるだろうから、贈り物は小物がいい。それで高級ボールペンに決めた。
事前の調べでは、シャレたデザインのものがあったのだが、ステーショナリー売り場に行くと、それがない。他のデザインで妥協したくなかったのでここは諦め、別の売り場を見て回った。
シャレたデザインのポーチが売られていたのだが、値札がない。これは縁がなかったと諦めて、今回は甚だ異例ながら、駅反対側の京王百貨店に行ってみることにした。
東口駅前の広場ではお茶のペットボトルの無料配布をやっていた。まさか東京で「配給」に遭遇するとは思わなかったが、運のいいことである。行列に並んで「伊藤園の濃い茶」をいただいた。これを明日の飲み物にしよう。
京王5階のステーショナリー売り場には、シャレた形のボールペンがあったので、これを購入した。さらに婦人服売り場に下りると、シャレたバッグがあった。先日の将棋ペンクラブ関東交流会で、渡部女流初段が着ていたワンピースにイメージが似ていたので、これも購入した。
結局、また大荷物になってしまった。
26日当日である。私は前夜からなかなか寝付けず、朝早くに目が覚めた。やはり多少の緊張があったのだろう。
社団戦会場は、今年から浅草の「産業貿易センター台東館」で行われる。浜松町よりは近いが、上野で地下鉄に乗り換える手間を考えると、時間的にはあまり変わらない。
ただ、上野から3駅で165円も出すのがシャクに障るので、自宅最寄り駅から出る路線バスに乗っていくことにした。
駅前からバスに乗るのは10数年振りだ。その前となると小学生の時に眼科へ通院していたころまでプレイバックしてしまう。
駅前からの浅草行きは、わりと多くの本数が出ていた。始発だから座っていけたが、乗客は多い方だ。
バスは私が何度も歩いた道を行く。しかし視界が高くなっているので新鮮だ。これはある種の発見で、今度ヒマができたら、都バスの1日乗車券でも買って、都内をプチトリップしてみたい。
10数分で現場近くに着いた。浅草二丁目で降り、しばらく歩く。高い建物があり、そこが産業貿易センターだった。
ひっくり返ったのは、その真ん前に二天門バス停があったこと。さっきのバスの1つ先が、ここだったのだ。
さて私が所属するのはもちろん、「大野教室」である。今年から2チームに増えたが、何かの手違いで、ともに6部になってしまった。
うち1つの監督には、Fuj氏が就任した。Fuj氏、前回は「星組2008」の所属で見事3部に昇級したのに、そこでの対局を蹴って移籍したのだ。人としてどうなのかという気もするが、私が言える立場ではない。
建物に入って若干迷う。とりあえず10階に上ったが、違う。1階に戻ると某氏に会い、5階が対局会場と分かった。
5階は多くの選手で賑わっていた。しかしまだ準備はできていない。この階は5部と6部用。4部以上と各将棋ブースは4階である。私の高校は男子クラスと共学クラスがあり、その一部は鉄扉で隔離されていて、私たち男クラ生徒は悔しい思いをした。今回の措置も、その臭いがする。
まあよい、目立たないながらも、6部は6部なりの戦いをするだけだ。
まずは渡部女流初段への贈り物である。4階に下りると中倉宏美女流二段、蛸島彰子女流五段、渡部女流初段の姿があり、渡部女流初段にプレゼントを渡した。
これで私の任務は終了である。よく考えたら、これで帰宅しても構わないわけだ。何しろ、眼下のバスに乗れば、労せずして自宅付近に着けるのだ。
まあさすがにそれはしない。
将棋ペンクラブのKan氏に会った。Kan氏は今年から幹事になった、信頼のおける人である。ペンクラブは今年休戦の噂もあったが、6部で参戦している。
「大沢さんが社団戦に出るウワサが流れていて…(本当だったんですね)」
私は恐縮するのみである。
やがてFuj監督をはじめ、各選手と合流して、緊張感が高まってきた。
O氏の顔があった。氏は新宿機動部隊の主力選手だが、今年は5部で参加するという。O氏ほどの実力なら、もっと上のクラスで指さないとダメだろう。
ちなみに同じチームのKun氏は大野教室に移籍した。氏と同チームで指せるとはうれしい。
将棋ペンクラブのA氏にも会う。午前の1回戦は1人足らず、1不戦敗が決まっているという。それで思ったのだが、私はこちらから出てもよかったのだ。何しろ大野教室よりも(LPSA)星組よりも前から、同団体にはお世話になっているのだから。
私はFuj監督に参加費を納める。1回参戦も5回参戦も同じ納入額は少々合点がいかないが、やむを得ない。
盤駒と対局時計が到着し、着々と準備が整えられていく。
大野教室は有段チームと級位チームに分かれる。私は前者で、1回戦は大将で指すことになった。抜け番はKoh君。それはいいが、付き添いがKoh君のおじいちゃんなのはどういうことか。福田沙紀似の美人ママが来るという話だったが、釣りだったのか!?
テーブルに盤駒と対局時計が載り、私たちは席に着く。1回戦の相手は、「天野チルドレン3」。天野貴元氏がプロデュースしたチームだ。ここでは6部だが、上位は元奨励会三段を大量に集め、つねに優勝候補になっている。そのやり方に私は異を唱えるものだが、それをここで論じても詮無い。
対局に先立ち、所司和晴七段の挨拶。「えー、ボソボソ、えー、ボソボソ、えー、えー…」。
続いて、中倉宏美LPSA代表理事の挨拶。「今年もブースを出しています」。
最後に、主催者関係代表から挨拶。「お弁当云々…」。
いよいよ対局である。振り駒の結果、「奇数先」。すなわち、私は先手になった。みなで一礼して、私は▲7六歩。もう指すことがないと思っていた、5年振りの一手だった。
(つづく)