一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ大賞二次選考の採点を終える

2016-06-11 02:14:14 | 将棋ペンクラブ
今年も将棋ペンクラブ幹事から、「(第28回)将棋ペンクラブ大賞」の二次選考委員を仰せつかった。
今年は観戦記部門19本、文芸(書籍)部門4本がノミネートされた(技術部門は、担当の棋士が評価する)。
観戦記は、1年間に発表されたそれを一次選考委員がすべて読み込み、各棋戦からベスト1をピックアップする。それを10名の二次選考委員が「優、良、可」の3段階で、コメントを付して採点する。
二次選考は合議制ではなく、各家に観戦記のコピーが送られ、それぞれで読み込む。また文芸部門の書籍は、個人でできる限り入手する。
観戦記はいわば、非売品の「2015年度観戦記アンソロジー」で、これを読めるのは二次選考委員の特権だ。たとえ名人でも竜王でも、読むことはできない。
だがそれだけに、妙なプレッシャーも感じる。本当は飛びついて片っ端から読みたいところだが、封を開けるのさえ日にちを要してしまう。
ようやっと開けて読むも、案の定どれもおもしろくて、優劣を付けられない。何しろ一次選考委員が自信をもって選んだ作品だから、おもしろくないわけがない。どれも「優」にしてしまうのである。
しかしそれでは採点の意味がないので、観戦記者氏にはまことに申し訳ないが、「これはどういう意味?」というわずかな瑕疵を、減点の対象にしてしまう。
「それは重箱の隅をつっつきすぎでしょう!」の反論も来るかもしれないが、そうでもしないと差が付かないのだ。
しかし「良」を付けても「これで後悔しないか?」と自問すれば自信がなくなり、また読み返してしまう。結果「優」に戻したりして、これでは何をやってんだか分からない。
もっとも、「読んだ瞬間に文句なく優」というのは間違いなくある。そしてそれはたぶん、すべての二次選考委員が感じるものである。これは概ね、大賞を獲る。私の場合は、その観戦記が「会報」に載った絵がイメージされる。
今年は、優の上、すなわち「◎優」が2つあった。参考までにそのコメントを載せると、
「最終盤の場面、厳しい勝負の世界を冷徹に描いている。後の○○○の結果を思うと、いっそう興味深い」
「大盤解説会の様子、対局地である○○県各地の表情、数々のエピソードなど、うまく盛り込んでいる」
だった。
ここで一次選考委員に一言述べるが、タイトル戦番勝負のピックアップが多かった。番勝負は大一番で譜も多いので、おもしろいのは当たり前。だが予選にも光る観戦記はある。それを見つけるのも選考委員の力だと思う。
王将戦や女流棋戦など、番勝負しか観戦記にならない棋戦もあるのは承知で、ちょいと苦言を呈してみた。

とにもかくにも、苦しくも楽しかった採点を終えた。今日11日、将棋ペンクラブ関東交流会にて、幹事に採点表を渡す予定である。
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