しかしさすがTod氏である。それほどむずかしくない寄せをグズり、私が息を吹き返した。

第1図から私は△6六角。以下飛車を取って、何とかなりそうに思った。そこからTod氏も頑強に抵抗したため長引いたが、勝つことができた。
連敗街道を驀進中だったから、この1勝は本当にうれしかった。緩めてくれたTod氏に感謝である。
8局目はTaga氏と指す。今日の生徒は大人7人、子供4人だったが、臨時講師が2人いたこともあり、対戦相手には困らなかった。
ふだんは駒落ちの手合いだがTaga氏は平手の練習がしたいそうで、自身が持ち時間15分、私は初手から1手20秒というハンデ戦になった。
将棋はTaga氏の角交換四間飛車。さらに逆棒銀にきた。私が漫然と構えていたら、早くも私に受けがない。▲6一角と打って8三の地点を狙われていたら私は指しようがなかったが、Taga氏が見送ったので、また私が息を吹き返した。
Taga氏、▲3四桂から▲2二飛。ふつうこんな飛車桂を打たれたら私が負けとしたものだが、そこは寄りなしと見切っていた。
そしてそれは当たっていたのだが…。

第1図以下の指し手。▲3二竜△同玉▲7三金△2六歩▲6三金△同金▲5一角△4一金(第2図)
第1図からTaga氏は▲3二竜と切った。この順なら私が余せると思ったのだが、Taga氏の▲7三金がなかなかの手。角を入手しようというのだ。
私は△2六歩と合わせたが、ここは△7二角右と指しそうなものだ。
Taga氏はなぜか△6三の角を取って▲5一角。狙いは▲4二角成だから、私は自信満々に受けたのだが…。

第2図以下の指し手。▲3三角成(投了図)
まで、Taga氏の勝ち。

△4一金で先手指し切りと思ったら、しばらく考えたTaga氏が3三の桂を取るので訝しんだ。私は、何をやるのかと思った。
だがこの地点に角を成られ、私は「アッ!!」と叫んだ。
こ、この手に気付かないとは…!!
私の精神状態は最悪だ。…しかし、Taga氏も1分くらい考えていたが、どういうことだ?
「▲3三角成をうっかりした…。何をこんなところに金を打ってんだ」
私は声をふり絞る。
「銀を受けられるかと思いました」
「銀?」
「△4二銀と…」
「それ▲同角成でタダでしょ」
「あっ」
「……」
お互い、どうしようもない。
ここまで1勝7敗。もうお開きの時間だがこのままでは帰れず、私はKaz氏と対局する。実に本日9局目である。だが時間もないので、「5分・30秒」の設定とした。
Kaz氏の先手で、▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△2二銀。
Kaz氏は3手目に▲2五歩を決めてきた。私は当然△3三角。もし角換わりの将棋になれば、先日の植山悦行七段との将棋が活きると思った。が、▲7六歩△2二銀の次の手にズッコケた。
▲6六歩。
ここで角道を止めますか? ▲2五歩の攻勢とは相反するようにも見えたが、もちろんこれも一理ある指し方だ。
私は右四間飛車から攻勢に出たが、Kaz氏に的確に応接され、たちまち敗勢になった。私は壁銀だから玉の囲いもままならず、修復不可能である。
最後は△5二歩と受けた手が飛車の横利きを消した悪手で、▲4二金まで投了した。
しかしKaz氏はうなる。直前の▲7七歩や▲6九玉など緩手があったからだ。だがこんなものは大勢に影響はなく、それほど形勢は離れていた。
感想戦。私は右四間飛車に出たことを後悔した。「△4二角から矢倉にするんだった」。
しかし作戦そのものを否定するんじゃ、お話にならない。まったく、この将棋もヒドかった。
以上、今日はこれで終わりである。「1勝8敗。1勝あたり5,000円か…」。
周りの棋友が苦笑した。
さてこれから食事に出るが、今日は参加者が多く11人。また例のインドカレー屋に行った。私は肉体的にも精神的にもいっぱいいっぱいなので、流し込めるカレーはありがたい。
私はセットメニューを頼んだ。みなもだいたい同じである。食事が終わるとここを喫茶店代わりにしてみなで談笑する。私にはこの時間が束の間の癒しだ。恐らく、5月あたりからは私の生活が一変する。
私の向かいには岡井奨励会三段が座っていたが、彼がネットで将棋を指しているのが分かった。さすがに奨励会三段、このくらい将棋好きでないといけない。
その岡井奨励会三段から、将棋ソフトについて衝撃的な話を聞いたのだが、ちょっとここには書けない。まあ私たちの想像以上に、将棋ソフトが強くなっているということだ。
11時近くになり、閉店。帰りはKaz氏といっしょになった。Kaz氏、最近は序盤で▲2五歩と早く決めているらしい。
「森内流(屋敷流)ですか」
「いろいろ指してみて、やっぱり▲2五歩を決めちゃうほうがいいんですよ」
うーむ。実際私はコテンパンにやられたから、唸るよりなかった。何とか対策を考えねばならないが、そんなのを考えるヒマがあったら、ほかにやらなければならないことが山ほどある。近い将来を思い描くと、本当に気が重くなった。

第1図から私は△6六角。以下飛車を取って、何とかなりそうに思った。そこからTod氏も頑強に抵抗したため長引いたが、勝つことができた。
連敗街道を驀進中だったから、この1勝は本当にうれしかった。緩めてくれたTod氏に感謝である。
8局目はTaga氏と指す。今日の生徒は大人7人、子供4人だったが、臨時講師が2人いたこともあり、対戦相手には困らなかった。
ふだんは駒落ちの手合いだがTaga氏は平手の練習がしたいそうで、自身が持ち時間15分、私は初手から1手20秒というハンデ戦になった。
将棋はTaga氏の角交換四間飛車。さらに逆棒銀にきた。私が漫然と構えていたら、早くも私に受けがない。▲6一角と打って8三の地点を狙われていたら私は指しようがなかったが、Taga氏が見送ったので、また私が息を吹き返した。
Taga氏、▲3四桂から▲2二飛。ふつうこんな飛車桂を打たれたら私が負けとしたものだが、そこは寄りなしと見切っていた。
そしてそれは当たっていたのだが…。

第1図以下の指し手。▲3二竜△同玉▲7三金△2六歩▲6三金△同金▲5一角△4一金(第2図)
第1図からTaga氏は▲3二竜と切った。この順なら私が余せると思ったのだが、Taga氏の▲7三金がなかなかの手。角を入手しようというのだ。
私は△2六歩と合わせたが、ここは△7二角右と指しそうなものだ。
Taga氏はなぜか△6三の角を取って▲5一角。狙いは▲4二角成だから、私は自信満々に受けたのだが…。

第2図以下の指し手。▲3三角成(投了図)
まで、Taga氏の勝ち。

△4一金で先手指し切りと思ったら、しばらく考えたTaga氏が3三の桂を取るので訝しんだ。私は、何をやるのかと思った。
だがこの地点に角を成られ、私は「アッ!!」と叫んだ。
こ、この手に気付かないとは…!!
私の精神状態は最悪だ。…しかし、Taga氏も1分くらい考えていたが、どういうことだ?
「▲3三角成をうっかりした…。何をこんなところに金を打ってんだ」
私は声をふり絞る。
「銀を受けられるかと思いました」
「銀?」
「△4二銀と…」
「それ▲同角成でタダでしょ」
「あっ」
「……」
お互い、どうしようもない。
ここまで1勝7敗。もうお開きの時間だがこのままでは帰れず、私はKaz氏と対局する。実に本日9局目である。だが時間もないので、「5分・30秒」の設定とした。
Kaz氏の先手で、▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△2二銀。
Kaz氏は3手目に▲2五歩を決めてきた。私は当然△3三角。もし角換わりの将棋になれば、先日の植山悦行七段との将棋が活きると思った。が、▲7六歩△2二銀の次の手にズッコケた。
▲6六歩。
ここで角道を止めますか? ▲2五歩の攻勢とは相反するようにも見えたが、もちろんこれも一理ある指し方だ。
私は右四間飛車から攻勢に出たが、Kaz氏に的確に応接され、たちまち敗勢になった。私は壁銀だから玉の囲いもままならず、修復不可能である。
最後は△5二歩と受けた手が飛車の横利きを消した悪手で、▲4二金まで投了した。
しかしKaz氏はうなる。直前の▲7七歩や▲6九玉など緩手があったからだ。だがこんなものは大勢に影響はなく、それほど形勢は離れていた。
感想戦。私は右四間飛車に出たことを後悔した。「△4二角から矢倉にするんだった」。
しかし作戦そのものを否定するんじゃ、お話にならない。まったく、この将棋もヒドかった。
以上、今日はこれで終わりである。「1勝8敗。1勝あたり5,000円か…」。
周りの棋友が苦笑した。
さてこれから食事に出るが、今日は参加者が多く11人。また例のインドカレー屋に行った。私は肉体的にも精神的にもいっぱいいっぱいなので、流し込めるカレーはありがたい。
私はセットメニューを頼んだ。みなもだいたい同じである。食事が終わるとここを喫茶店代わりにしてみなで談笑する。私にはこの時間が束の間の癒しだ。恐らく、5月あたりからは私の生活が一変する。
私の向かいには岡井奨励会三段が座っていたが、彼がネットで将棋を指しているのが分かった。さすがに奨励会三段、このくらい将棋好きでないといけない。
その岡井奨励会三段から、将棋ソフトについて衝撃的な話を聞いたのだが、ちょっとここには書けない。まあ私たちの想像以上に、将棋ソフトが強くなっているということだ。
11時近くになり、閉店。帰りはKaz氏といっしょになった。Kaz氏、最近は序盤で▲2五歩と早く決めているらしい。
「森内流(屋敷流)ですか」
「いろいろ指してみて、やっぱり▲2五歩を決めちゃうほうがいいんですよ」
うーむ。実際私はコテンパンにやられたから、唸るよりなかった。何とか対策を考えねばならないが、そんなのを考えるヒマがあったら、ほかにやらなければならないことが山ほどある。近い将来を思い描くと、本当に気が重くなった。