渡部愛女流初段の指導対局会の翌12日は、蕨将棋教室に行った。
夕方、蕨駅の改札を抜けたところにある立ち食いそば屋で、かけそばを喰らう。川口駅のそれは駅構内にあるからうっかり改札を出て後悔するが、蕨のそれは外にあるから安心だ。
午後6時少し前に教室に入ると、私が一番乗りだった。やがて子供たちが続々と入室。大人も一人入り、定刻に教室が始まった。
今日は四枚落ちの講座から。有段の私には関係なく思えるが、上手をもっての指し方が勉強できるので、あながち無駄な時間ではない。
四枚落ちは端(1筋)を攻める。講師の植山悦行七段の教えはうまく、分かりやすい。
その途中で、Tod氏とFuj氏が入室した。
講座のほうは一段落し、下手が上手を攻略した。ただ、どこかで上手がごまかせる順もあると思った。すなわち有段者も参考になったということである。
ここまでで30分経過。子供たちは植山七段との指導対局に入り、常連氏の一人はTod氏と対局した。
ここから20分くらい待ち、子供の1局が終わった。そこに私が入る手もあったのだが、私はもう少し待つ。
Tod―常連A戦は妙な熱戦になっていた。居飛車VS振り飛車で、常連A氏が棒銀に出ているのに、Tod氏の左銀が△5四銀に上がったりしてハラハラしたが、それなりにバランスは取れていた。
さらに10分くらい経って、対局が終わった少年と私が指すことになった。私の四枚落ちである。
小学4~5年と思しき少年はよく勉強していて、第1図から▲1四銀!と出た。級位者とは思えぬ好手で、植山七段の講義をしっかり消化しているのが分かる。ただ第1図ではふつうに、▲2四歩△1二銀▲1四銀もあった。以下△2二歩に▲1三歩△同桂▲同銀成△同銀▲同香成で下手優勢。
本譜は▲1四銀に△2四歩▲2三銀成△同金▲1二香成と進んだが、これも下手優勢である。
その後私は必敗形になったが、ここから勝ち切らないのが下手で、私は何だかんだで延命する。
その後私が必勝形になったが、ここから少年の追い込みがすごく、再び少年が勝勢になった。敗勢の局面からひっくり返したのだから、少年の地力の高さが分かろうというものだ。
私は局面を複雑化するが、うまくいかない。何となく敵玉に嫌味をつけ、大詰めを迎えた。
第2図で下手玉はわずかに詰まない。それを読んでか読まずか、少年は▲7三馬!!と切ってきた。
終盤で相手に大駒を渡すには度胸が要るから敬意を表するが、ここでは誤った。よほど待ったをしてあげようと思ったのだが、こっちも勝ちたいから、そのまま進める。
以下△7三同竜▲同金寄△4九香成▲同玉△3八角。ここで少年の手が止まり、上手の勝ちになった。
戻って第2図では、▲7三金寄があった。これに△同竜なら一旦▲8一銀と打ち、以下4手で下手が勝ちだった。
局後の少年は茫然としたテイで、私も罪悪感がこみあげてきた。少年が▲7三馬と指した時、やはり待ったにして、最善手を発見させるべきだった。
感想戦では第2図から▲7三金寄を示し、△同竜▲8一銀△8三玉(△9一玉は▲7三馬まで)の局面で少年に考えさせた。少しして少年は▲7三馬△9四玉▲9五飛と正解を示した。7三が馬になっているから、▲9五飛が打てるのだ。少年も納得したようで、私の罪悪感も少しは薄れた。
先ほどのTod―常連A戦は、Tod氏の勝ち。終盤で相手玉を即詰みに討ち取ったらしい。
すでに大人の部の指導対局は始まっていて、私はFuj氏の左に座り、対局に加わった。今回は大人が多く、植山七段の5面指しである。
私は三間飛車。振り飛車は不慣れだが、前日に続いて振ってみた。
植山七段は、「穴熊は得意じゃないんだよなァ」とつぶやき、△1二香。
植山七段はけっこう穴熊に潜る。私は美濃に組み、玉は▲2八に収まっているので、コーヤン流はしにくい。歩越しに▲4六銀と出た。
(つづく)
夕方、蕨駅の改札を抜けたところにある立ち食いそば屋で、かけそばを喰らう。川口駅のそれは駅構内にあるからうっかり改札を出て後悔するが、蕨のそれは外にあるから安心だ。
午後6時少し前に教室に入ると、私が一番乗りだった。やがて子供たちが続々と入室。大人も一人入り、定刻に教室が始まった。
今日は四枚落ちの講座から。有段の私には関係なく思えるが、上手をもっての指し方が勉強できるので、あながち無駄な時間ではない。
四枚落ちは端(1筋)を攻める。講師の植山悦行七段の教えはうまく、分かりやすい。
その途中で、Tod氏とFuj氏が入室した。
講座のほうは一段落し、下手が上手を攻略した。ただ、どこかで上手がごまかせる順もあると思った。すなわち有段者も参考になったということである。
ここまでで30分経過。子供たちは植山七段との指導対局に入り、常連氏の一人はTod氏と対局した。
ここから20分くらい待ち、子供の1局が終わった。そこに私が入る手もあったのだが、私はもう少し待つ。
Tod―常連A戦は妙な熱戦になっていた。居飛車VS振り飛車で、常連A氏が棒銀に出ているのに、Tod氏の左銀が△5四銀に上がったりしてハラハラしたが、それなりにバランスは取れていた。
さらに10分くらい経って、対局が終わった少年と私が指すことになった。私の四枚落ちである。
小学4~5年と思しき少年はよく勉強していて、第1図から▲1四銀!と出た。級位者とは思えぬ好手で、植山七段の講義をしっかり消化しているのが分かる。ただ第1図ではふつうに、▲2四歩△1二銀▲1四銀もあった。以下△2二歩に▲1三歩△同桂▲同銀成△同銀▲同香成で下手優勢。
本譜は▲1四銀に△2四歩▲2三銀成△同金▲1二香成と進んだが、これも下手優勢である。
その後私は必敗形になったが、ここから勝ち切らないのが下手で、私は何だかんだで延命する。
その後私が必勝形になったが、ここから少年の追い込みがすごく、再び少年が勝勢になった。敗勢の局面からひっくり返したのだから、少年の地力の高さが分かろうというものだ。
私は局面を複雑化するが、うまくいかない。何となく敵玉に嫌味をつけ、大詰めを迎えた。
第2図で下手玉はわずかに詰まない。それを読んでか読まずか、少年は▲7三馬!!と切ってきた。
終盤で相手に大駒を渡すには度胸が要るから敬意を表するが、ここでは誤った。よほど待ったをしてあげようと思ったのだが、こっちも勝ちたいから、そのまま進める。
以下△7三同竜▲同金寄△4九香成▲同玉△3八角。ここで少年の手が止まり、上手の勝ちになった。
戻って第2図では、▲7三金寄があった。これに△同竜なら一旦▲8一銀と打ち、以下4手で下手が勝ちだった。
局後の少年は茫然としたテイで、私も罪悪感がこみあげてきた。少年が▲7三馬と指した時、やはり待ったにして、最善手を発見させるべきだった。
感想戦では第2図から▲7三金寄を示し、△同竜▲8一銀△8三玉(△9一玉は▲7三馬まで)の局面で少年に考えさせた。少しして少年は▲7三馬△9四玉▲9五飛と正解を示した。7三が馬になっているから、▲9五飛が打てるのだ。少年も納得したようで、私の罪悪感も少しは薄れた。
先ほどのTod―常連A戦は、Tod氏の勝ち。終盤で相手玉を即詰みに討ち取ったらしい。
すでに大人の部の指導対局は始まっていて、私はFuj氏の左に座り、対局に加わった。今回は大人が多く、植山七段の5面指しである。
私は三間飛車。振り飛車は不慣れだが、前日に続いて振ってみた。
植山七段は、「穴熊は得意じゃないんだよなァ」とつぶやき、△1二香。
植山七段はけっこう穴熊に潜る。私は美濃に組み、玉は▲2八に収まっているので、コーヤン流はしにくい。歩越しに▲4六銀と出た。
(つづく)