一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第93期棋聖戦第1局

2022-06-05 15:31:18 | 男性棋戦
3日は第93期ヒューリック杯棋聖戦第1局・藤井聡太棋聖VS永瀬拓矢王座戦が行われた。
棋聖戦は1962年、サンケイ新聞が王位戦から独立して創設された。当時のサンケイ新聞社長が升田幸三九段のファンで、何とか升田九段にタイトルを……の願いを込めたとされる(と聞いたことがある)。
棋聖戦の大きな特色は年2期制で、これも升田九段に多くのチャンスを……の思惑があったかどうかは分からない。棋聖戦は今年で93期を数えるが、歴史の古い名人戦より期数が多いのは、このためである。
しかしフタを開けてみれば大山康晴名人が第1期から7連覇。あっさり永世棋聖(5期)を獲得し、肝心の升田九段はタイトル戦に2度登場するも、獲得には至らなかった。
なお「永世棋聖」には終生、棋聖年金が贈られるとのことだったが、大山永世棋聖がもらった形跡はないようである。
その棋聖戦も、1995年の第66期からは、年1期に改められた。
そして2018年からはヒューリックが特別協賛に加わり、正式名称も「ヒューリック杯棋聖戦」となった。
またヒューリックは2020年に、女流順位戦・白玲戦の主催者になった。
ヒューリックは、東証1部上場の不動産会社。新聞社以外のスポンサーは珍しいが、新聞経営が厳しい現在、今後さまざまな分野の企業がスポンサーに名乗りを挙げるに違いない。
なお日本将棋連盟は2024年に東京・将棋会館を移転予定だが、ここでもヒューリックが経営する都市センタービル内に入居することになっている。日本将棋連盟の総本山である将棋会館がテナントに入ることに私は疑問を感じるがそれはともかく、いまやヒューリックと日本将棋連盟は蜜月の関係にある。よって両者は、「ヒューリック杯棋聖戦」と、正式名称で呼んでもらいたいわけだ。でも私は、必ずしも従おうとは思わない。由緒あるタイトル名の前に、協賛企業の名前を付けたくないからだ。

さて、藤井棋聖VS永瀬王座戦である。藤井聡太被害者の会員は何名もいるが、役員格に永瀬王座も名を連ねている。ふたりはタイトル戦の顔合わせこそ今回が初めてだが、永瀬王座は藤井棋聖に、第91期棋聖戦挑戦者決定戦、第61期王位戦挑戦者決定戦、第34期竜王戦挑戦者決定三番勝負でことごとく敗れている。永瀬王座にとって藤井棋聖はまさに目の上のタンコブ、一刻も早く排除したい存在なのだ。
第1局は藤井棋聖の先手で相掛かりになった。だが16時17分、千日手成立。指し直し局は角換わり腰掛け銀になったが、やはり17時38分に千日手が成立した。タイトル戦での千日手自体が珍しいが、1局の中で2連続はさらに珍しく、2002年の第15期竜王戦第1局以来、約20年ぶりだった。
なお永瀬王座の2千日手といえば、2011年の第61回NHK杯・対佐藤康光九段戦がいまだに印象深い。あのときは佐藤九段の、苦虫をかみつぶしたような表情が印象的だった。
永瀬王座には「千日手王」の異名もあるが、千日手は両者納得のうえで生じるもので、どちらか一方の責任ではない。千日手局の中には永瀬王座が指せた将棋もあり、むしろ永瀬王座が損している感じなのだ。まあそれだけ、永瀬王座は将棋が好きなのだろう。
棋聖戦は、再指し直し局を永瀬王座がうまく指し、幸先よい1勝を挙げた。これで対藤井棋聖の直近3連勝となり、もう苦手感はないだろう。
しかし藤井棋聖はタイトル戦で誰が相手でも3連勝をする力があるので、五番勝負の行方はまだ分からない。
第2局は15日に行われる。
コメント (2)
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