第１図以下の指し手。△７六飛▲７七桂△２三歩▲２五飛△５二玉▲９六歩△７四歩▲８五飛△８二歩▲２五飛△７三桂▲１六歩（第２図）
第１図では△８八角成▲同銀△３三角があった。以下▲２一飛成△８八角成▲同金△同飛成▲３一竜△４一銀（△同金は▲３三角の王手竜）は後手優勢であろう。しかし山野氏は△７六飛。私は▲７七桂と跳ねてほっと一息である。
だが山野氏はその逸機を知らぬから、右桂を早々に跳ね、ヤル気満々である。そこで私の▲１六歩が緩手だった。
第２図以下の指し手。△６五桂▲６八銀△３三桂▲２八飛△７二銀▲６九玉△４五桂（第３図）
△６五桂が気持ちいい跳躍。これに▲同桂は△８八角成で壊滅。次に△７七桂成があるので私は▲６八銀と上がったが、それでも次に▲６五桂とは取れない（△７八飛成がある）のに呆れた。
そこで山野氏が△７二銀と上がったのが緩手で、私は▲６九玉と寄って一安心である。戻って△７二銀では、△４五桂とこちらの桂も跳ねるべきだった。
山野氏はそこで△４五桂と跳んだが、今度は悪手になった。
第３図以下の指し手。▲６五桂△７八飛成▲同玉△８八角成▲同玉△７六角（第４図）
私は▲６五桂と桂得して有利になったと思った。さっきまで私が悪かったのに、まことに将棋は難しい。
山野氏は△７八飛成から突撃してきたが、これは無謀である。ふつうに応接して、先手勝勢になった。
第４図以下の指し手。▲５三桂成△同玉▲５六飛△５四角▲６五桂△６四玉▲５女流三角△６五玉▲６六飛（投了図）
まで、一公の勝ち。
▲５三桂成から▲５六飛が決め手。以下山野氏の応接も悪く、後手玉が詰んでしまった。
山野氏が苦笑いしつつ、大きなため息をつく。「大沢さん強い」という感じだが、山野氏が中盤までうまく指していながら、勝手に転んだだけだ。
聞けば山野氏は、横歩取り青野流を勉強していて、それをぶつけたという。だからか、序盤の「△８八角成」も逃がしてしまったのは皮肉だった。
３局目はItoh氏と。社団戦で時々見る方だが、どういう経緯からか、この将棋会に参加している。ただ彼から見れば、私こそが「あんた誰？」という存在であろう。
将棋はItoh氏の中飛車に私が馬を作って優勢になったが、そこから緩手を続け、ちょっとリードがせばまった。
図はItoh氏が▲５二銀と打ち込んだ局面。以下△３三玉▲４三金△２四玉▲４一銀不成と進んで、アレッ？と思った。
さっきまで私がよかったのに、なんでこんなに悪くなっているんだろう。…アッ、△３三玉が悪手である。▲５二銀には△同金と取り、▲同歩成△同飛で後手優勢だった。何を錯覚していたのか。
本譜は以下、私も妖しく粘ったが、Itoh氏に慎重に寄せ切られた。
なんだかだんだん将棋の内容が悪くなって、ここで私の将棋は終わり。傍らでは、星野―三上戦が熱戦である。湯川博士幹事が盤側に座り、なぜか棋譜を取っていた。
第１図は三上氏が▲８一銀△同玉▲７三角成と迫ったところ。これはどちらが勝っているのか。
（つづく）
