第48期棋王戦五番勝負が5日、長野市で開幕した。棋王10連覇の渡辺明棋王に挑むは藤井聡太竜王。ついに棋王戦に登場である。
ここまでの対戦成績は渡辺棋王の2勝、藤井竜王の12勝。タイトル戦は3回あったがもちろん藤井竜王の全勝で、昨年の王将戦では、時の名人に4タテした。渡辺棋王は正真正銘、最強の挑戦者を迎えたことになる。
戦前の抱負も対照的だった。渡辺棋王が「藤井竜王の対戦は他の棋士と違った対策が求められる。前回まではいいところがなかったので、今回はいいものを見せなくては」と警戒感を表したのに対し、藤井竜王は「挑戦者として対局するのは新鮮な気持ちはあります。六冠を目指す意識は持っていない。王将戦と並行して戦う中でよいパフォーマンスを出せれば」と自然体だ。
これを自分の中で勝手に意訳すると、渡辺棋王は「イヤな男が出てきた」、藤井竜王は「対戦が楽しみ」と言っている。この気持ちの持ちようが、タイトルの行方を左右する気がするのである。
第1局の開始から30分後にABEMAを見ると、もう序盤の駒組が終わっていた。角換わり相腰掛け銀で、ここまで両者ともほとんど時間を使っていない。
むかしのタイトル戦は序盤から小刻みに時間を使い、それでタイトル戦の重みを感じたものだが、いまは考え方がドライで、勝手知ったる道なら時間を使わない。いわば指定局面からのスタートだ。
とはいえ先手は藤井竜王である。ここまで藤井竜王は先手番22連勝中。しかも棋王戦は、第1局は先手番が勝つというジンクスがある。渡辺棋王苦戦の図が浮かんだ。
仕掛けは渡辺棋王から。以下は難しいが、渡辺棋王の読み筋に進んだと思われる。藤井竜王はそこでたっぷり持ち時間を使う。そして藤井竜王に、継ぎ歩ならぬ継ぎ桂が出た。継ぎ桂といえば美濃崩しの▲7四桂が有名で、というかこの筋しか見たことがないのだが、それがこんなところで出た。藤井将棋は常識に捉われない。羽生善治九段もそうだったが、固定観念に捉われることなく、その局面での最善手を考えるのだ。
局面は、藤井竜王が細い攻めを繋げる。2筋に歩と香を着手したが、これだけで後手陣への脅威となった。まるで第35期竜王戦第4局を見ているかのようである。
以下は、藤井竜王が指すごとにABEMAの形勢バーが開いていく。こうなってはもうダメである。渡辺棋王が最善手を続けても、藤井竜王包囲網から逃れられない。
結局、125手まで藤井竜王の勝ち。渡辺棋王にこれといった疑問はなかったと思うのだが、いつの間にか負けている。消費時間も、最後は渡辺棋王のほうが消費していた。これもいつものパターンである。
これで両者の対戦成績は、渡辺棋王の2勝、藤井竜王の13勝となった。藤井竜王VS羽生九段の9勝―2勝も相当な開きだが、それを不自然と感じさせないところに藤井竜王の凄みがある。
第2局はちょっととんで18日(土)。どの棋士も、藤井竜王に3連勝は難しい。よって、渡辺棋王にとって次局は、背水の陣の戦いになる。
ここまでの対戦成績は渡辺棋王の2勝、藤井竜王の12勝。タイトル戦は3回あったがもちろん藤井竜王の全勝で、昨年の王将戦では、時の名人に4タテした。渡辺棋王は正真正銘、最強の挑戦者を迎えたことになる。
戦前の抱負も対照的だった。渡辺棋王が「藤井竜王の対戦は他の棋士と違った対策が求められる。前回まではいいところがなかったので、今回はいいものを見せなくては」と警戒感を表したのに対し、藤井竜王は「挑戦者として対局するのは新鮮な気持ちはあります。六冠を目指す意識は持っていない。王将戦と並行して戦う中でよいパフォーマンスを出せれば」と自然体だ。
これを自分の中で勝手に意訳すると、渡辺棋王は「イヤな男が出てきた」、藤井竜王は「対戦が楽しみ」と言っている。この気持ちの持ちようが、タイトルの行方を左右する気がするのである。
第1局の開始から30分後にABEMAを見ると、もう序盤の駒組が終わっていた。角換わり相腰掛け銀で、ここまで両者ともほとんど時間を使っていない。
むかしのタイトル戦は序盤から小刻みに時間を使い、それでタイトル戦の重みを感じたものだが、いまは考え方がドライで、勝手知ったる道なら時間を使わない。いわば指定局面からのスタートだ。
とはいえ先手は藤井竜王である。ここまで藤井竜王は先手番22連勝中。しかも棋王戦は、第1局は先手番が勝つというジンクスがある。渡辺棋王苦戦の図が浮かんだ。
仕掛けは渡辺棋王から。以下は難しいが、渡辺棋王の読み筋に進んだと思われる。藤井竜王はそこでたっぷり持ち時間を使う。そして藤井竜王に、継ぎ歩ならぬ継ぎ桂が出た。継ぎ桂といえば美濃崩しの▲7四桂が有名で、というかこの筋しか見たことがないのだが、それがこんなところで出た。藤井将棋は常識に捉われない。羽生善治九段もそうだったが、固定観念に捉われることなく、その局面での最善手を考えるのだ。
局面は、藤井竜王が細い攻めを繋げる。2筋に歩と香を着手したが、これだけで後手陣への脅威となった。まるで第35期竜王戦第4局を見ているかのようである。
以下は、藤井竜王が指すごとにABEMAの形勢バーが開いていく。こうなってはもうダメである。渡辺棋王が最善手を続けても、藤井竜王包囲網から逃れられない。
結局、125手まで藤井竜王の勝ち。渡辺棋王にこれといった疑問はなかったと思うのだが、いつの間にか負けている。消費時間も、最後は渡辺棋王のほうが消費していた。これもいつものパターンである。
これで両者の対戦成績は、渡辺棋王の2勝、藤井竜王の13勝となった。藤井竜王VS羽生九段の9勝―2勝も相当な開きだが、それを不自然と感じさせないところに藤井竜王の凄みがある。
第2局はちょっととんで18日(土)。どの棋士も、藤井竜王に3連勝は難しい。よって、渡辺棋王にとって次局は、背水の陣の戦いになる。