一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第72期王将戦第5局・第1日目

2023-02-25 23:15:51 | 男性棋戦
25日・26日は第72期王将戦第5局である。対局者は藤井聡太王将と羽生善治九段。ここまで双方2勝。永遠にふたりの番勝負を見ていたいが、最大でもあと三番で終わってしまう。私たちは、その三番を精一杯堪能するしかない。
第5局は後手・羽生九段が横歩取らせの作戦に出た。前日のインタビューでは、温めていた作戦があるふうだったが、それがこれだった。羽生九段は横歩取りも強いが、横歩取らせも相当よい勝率である。天王山の一戦で、ついに伝家の宝刀を抜いたわけだ。
将棋は双方、贅肉を削ぎ落したような、ギリギリの指し手を続ける。40手目、羽生九段が歩を垂らしたところで、藤井王将が大長考に入った。
藤井王将は直感で浮かんだ手をそのまま指せばいいものを、考えすぎて無限ループに陥り、自分で自分を追い込んでしまうことがある。
長考2時間、藤井王将の指し手は、意表の桂ハネだった。これは検討では候補から外れていたらしいが、指されてみれば感心する手だったらしい。藤井王将はこれまで、穏やかな手より強気な手で勝ってきた。本局、勝っても負けても、これが藤井王将の手である。
今度は羽生九段の長考である。長考といえば加藤一二三九段が有名だが、加藤九段は序盤のどうでもいいところで、無駄に時間を消費していた(失礼)。
だがこの局面は考え甲斐がある。詰みまで読んでもおかしくないところだ。
それにしても、よく考えるものだ。歳を取ると、考えることさえダルくなるのではないか。そこをこれだけ考えられること自体がすごいと思うし、それだけ将棋が好きなのだろう。
結局羽生九段は藤井王将以上の2時間21分を消費し、歩を成った。AIの最善手は別だったらしいが、羽生九段がこれだけ考えたのだから、これが最善なのである。
そしてこうなればあとはほぼ一本道だ。数手後、藤井竜王が桂を成り、それを羽生九段がどちらの駒で取るか、というところで封じ手となった。
局面はもう終盤。だがそんなに煩雑な局面でなく思えるので、ホントに詰みまで読めそうだ。ということは、この時点で有利なほうが勝つことになる。現場の棋士の見解では、藤井王将がわずかにいいらしいが、さて、どうなるか。
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