おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨日(5月3日)は10:00~18:30にヒューマン・ギルドで SMILEリーダー養成講座(東京開催、大阪開催)の初日を行っていました。
詳しいご報告は明日のブログで。
さて、一昨日(5月2日)のブログ 心理学者の子ども(1)― B.F.スキナーの娘 でも書きましたが、動物実験の結果を人間に当てはめようとする行動主義心理学者たちは「個人の心の内側の価値の物差しだとか、心の状態とか、個人の感情とか、個人の人生目標とか、未来に対する期待などというものはすべて虚構(フィクション)である」と捉える傾向があります。
その先駆者であるワトソンのことを『新・心理学序説』(本明 寛編集、金子書房)を手がかりに簡潔にお伝えします。
心理学を自然科学の一分野のように位置づけ、その研究対象を客観的に観察可能なものに限定し、心理学を「刺激ー反応」に基づく行動の科学とみなしたJ.B.ワトソン(1878~1958)が次のように豪語したことは、後世の語り草になっています。
「私に1ダースの健康でよく管理された子どもを与え、自分に環境を自由に支配することを許してくれるなら、子どもを医師にでも弁護士だろうと、泥棒にでも望むものに育ててみせる」

この発言は、徹底的な環境による行動の操作を意味し、パーソナリティにしても生まれつきの素養があるわけでなく、経験によって学習された習慣の総体であるから、習慣を環境を変化させることによって変えられので、「パーソナリティは環境によって変えることができる」との確信によるものです。
その一環として、生後11カ月の幼児アルバートを対象に恐怖による条件づけを行ったことはとても有名です。
ただし、ワトソンの発言と幼児アルバートについては、反論もあります。
『行動療法 【医行動学講義ノート】』(久野 能弘、ミネルヴァ書房)によれば、ワトソンの言葉の後に「・・・・ということすら言わせてもらってもいいのではないか」という言葉がすっぱり抜けて引用され続けていることが書かれています。
また、幼児アルバートを恐怖症にしておいて、その後治療しないのは「もってのほか」ではないか、の質問に対しては、母親の退職によりこの実験が中断されたことが書かれています。
また、1つの章がそのことについて書かれて検討が加えられています。
ともあれ、ここで私たちが自らを戒めなければならないのは、自分とはスタンスが違う心理学であっても、表面的だけを読んで理解したつもりで終わりでなく、「本当だろうか?」と疑うことによって裏付けられるのではないでしょうか?
こうして考えてみると、最初は浅い知識でしかなかったものをどんどん調べて行くうちにより本質的なところにたどり着けることがあるという点で、学びの楽しみが深まっていきます。
◆ヒューマン・ギルドは、アドラー心理学を中心に据えつつも、他の心理学をも寛容に採り入れています。
7月には、若き心理学者を講師に迎えて2つの講座を企画しています。
是非お越しください。
(1)自分のタイプを知り、よりよく悩もう―フロイトとユングの心理学
講 師:東畑開人先生(十文字学園女子大学専任講師、博士、教育学、臨床心理士)
日 程:7月22日(土)13:30~17:30
受講料:会員10,800円、一般12,960円(税込み・資料付き)

(2)子育てのための発達心理学入門セミナー
講 師:大森哲至先生(心理学者、博士、大学講師)
日 程:7月23日(日)10:00~17:00
受講料:会員16,200円、一般19,440円(税込み・資料付き)

<お目休めコーナー>5月の花(4)
