アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。 

一昨日(5月17日)からの隠遁生活にも親しんでおります。

ヒューマン・ギルドの過去のメルマガに書いた原稿のブログに転載する第3回目です。

私が「原因論」を脱却することになった話です。

このことは、私にとって「目から鱗が落ちる」体験を伴っています。

アドラー心理学で発想したら(3):自己決定性(3)― もっともらしい不登校の原因説

「不登校の原因は(1)妊娠中に喜びがなかったこと、(2)つわりが激しかったこと、(3)難産だったこと、(4)母乳で育てなかったこと、(5)スキンシップが足りなかったこと、(6)父親が育児に協力的でなかったこと、(7)子どもに早くから個室を与えたこと」

これは、私が1983年に不登校の施設でボランティアを始めたとき、T先生(当時、登校拒否の専門家)から教わった不登校の原因論です。それから30年を経た今でもしっかりと記憶しています。

この7つの原因を不登校児の母親のカウンセリングであてはめると、100パーセントの的中率でした。
不登校児の母親は、必ず7つのどれかに原因が該当するのです。
「T先生の10年の臨床体験はさすがだ」と思いました。


しかし、原因を探し当てられた母親は、自分(時に夫、あるいは自分の親)を責めるばかりで、問題の克服には何の役にも立ちませんでした。勇気くじきになってしまうのです。
当時は「母原病(母親を原因とする病)」という言葉も流行していて、今から思えば、極端な原因論が横行していたことも原因論に拍車がかかっていました。


やがて、私はアドラー心理学を学ぶと、原因論が科学的に問題があることに気づきました。

科学的な手続きを踏むならば、子どもを実験群と統制群に分けて、5年、10年、20年の歳月をかけて観察し、その結果に明らかに差異が認められれば、理論的な妥当性を持つのですが、T先生は、不登校児だけを対象として、自分の仮説を当てはめ、それを7大原因としていたのです。

その後、私はイギリスのボウルビーのホスピタリズムの研究(注:これも完全な原因論)も、科学的な手続きが拙劣であることをヴァン・デン・ベルクの『疑わしき母性愛』の本で知り、7大原因を放棄し、アドラー心理学の勇気づけにシフトしました。

私の結論はこうです。
「原因論は、説明はもっともらしいが、解決にならない!」

アドラー心理学の自己決定性の理論は、原因のある種の影響は認めながらも、最終的にその原因をどう解釈しどう生かすかは自分次第、というところです。

<お目休めコーナー>5月の花(18

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