付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「キャット シット ワン」 小林源文

2008-02-01 | 戦記・戦史・軍事
 たとえば今まで『アリアンロッド』とか『ソードワールド』とかでファンタジー世界を舞台にしたTRPGに慣れ親しんできた若い女性が、突然「今度は戦争ものをやるよ。がちがちのミリタリーだから歩兵あたりをロールするつもりで予習しといて」とマスターに言われて途方に暮れたとしましょう。
 そんなときに入門書として薦める1冊。

 1960年代。ベトナムの民族独立運動はすぐに自由主義陣営と共産主義陣営の代理戦争の様相を呈するようになった。
 そんな中、アメリカ陸軍特殊部隊に所属するたれ耳ウサギのパーキンス軍曹(パッキー)指揮するチーム「Cat Shit One」は、弾着観測から墜落した味方パイロットの回収や亡命者の保護まで、さまざまな任務に投入されながらベトナム戦争を戦い抜いていく……。

 戦争劇画の第一人者、小林源文が描く「うさぎさんマンガ」。といってもテーマはベトナム戦争で、キャラクターは動物(アメリカ兵はウサギ、ベトナム人はネコ、日本人はサルでロシア人はクマで中国人はパンダ、そしてフランス人はブタ)だけれど、主人公たちのチームはプロの偵察兵(ロードランナー)。ストーリーも描写も至ってリアル。そうかあ、釣り針型の移動で後方を警戒するんだとか、川の中は濁らないよう流れに沿って歩くわけだとか、役に立たない知識が増えます。偵察兵は生半可な覚悟ではなれないなと思いました。
 それから白兵戦に持ち込まれたらお終いってこともね。数で優る敵に至近距離まで飛び込まれて勝てるのは、ファンタジーやスペースオペラの主人公かローゼンリッターだけです。
 蛇足ながら『Return to Gunparade』に登場するストライダー兎って、きっとあんな感じだろうと昔はそう思ってました。今でもそんなにイメージはずれてないと思ってます。
 1巻にはこの話のベースとなった「Dog Shit One」も収録されています。話はほとんど同じですが、確かに主人公は人間よりウサギにした方が面白いですね。頭身が小さいので、常に全身で演技しているせいかな。

【ベトナム戦争】【特殊部隊】【ウサギ】
コメント
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