「斬魔大聖デモンベイン ド・マリニーの時計」 古橋秀之

　同名のニトロプラスのパソコンゲームを題材にした小説で、今回はドクター・ウェストが活躍する短編集。その中の「遺跡破壊者」は若き日のドクター・ウェスト（本編では思いっきり敵役のやられキャラです）が前人未踏の辺境へと分け入り、その超天才的な頭脳によって南米の地底神殿、エジプト・ネフレン＝カの墓所、そしてハイアイアイ群島で古代の神秘や邪悪なる神々の使徒に遭遇する物語。ええ、秘境探検にしてクトゥルフもので、かつマッドサイエンティストで巨大ロボットもの。
　襲い来る〈深きものども〉の群れ！　天に伸びる異次元エネルギー！　地を穿つバンカーバスター！

　……鋼屋ジンの解説に言わせれば
「『永劫の探求』を題材にして、どうやったらこんな着想がわいてくるのか。しかも確かにクトゥルーっぽい。凄い。凄いけど酷い。」
とのこと。まったく同感ですね。いやはや、まったく。

【クトゥルフ】【巨大ロボット】【マッドサイエンティスト】【斬魔大聖デモンベイン】

「Duel in the Dark」 Fanagain Games

　ドイツ製のゲームで和訳ルール付き。「Duel in the Dark（闇夜の決闘）」と題があるように、第二次大戦の欧州戦線を舞台にした、英空軍によるドイツ爆撃ゲーム。
　ドイツ軍のロンドン市街地爆撃に対し、連合国は非人道的な行為と非難。「我々はあくまで民間人を巻き込まない正義の戦いをする！」と宣言しておいて（本当に戦時中のニュース・フィルムで言ってた）、やることは相手とまったく同じことをもっと徹底的にやっちゃうわけです。あのペリュトンに言及した論文があったというドレスデンなんか連合軍の無差別爆撃で街の９割が瓦礫になり、10万市民が死亡して、なおかつ戦略的意味はないという、裏でどんな禍々しい事情があったのかという国際法違反。
　それはさておき、ゲームの方はその連合軍による都市爆撃をデザインした、シンプルかつ短時間で終わる、何度もやりこめるタイプの作品です。思わず親子でプレイさ。
　コマの数は少なく、イギリス軍の重爆撃機ランカスター爆撃隊のコマが１つ、軽爆撃機モスキート爆撃隊が１つ。迎撃するドイツ軍のメッサーシュミット戦闘隊が４つ。あとは地上を覆い隠す曇天マーカーとか高射砲・サーチライト・レーダー基地などがちょこちょこ。
　ランカスター隊の爆撃目標とルートをこっそり決めたら、ドイツ軍は防衛網を構築。イギリス軍はなんとか敵の裏をかきつつ囮のモスキートを巧く使って相手を撹乱して都市爆撃を成功させようとし、ドイツ軍はなんとか戦闘隊や防空部隊をやりくりして都市を守ろうとするゲーム。
　ベルリンは遠いぞ……。

【シミョレーション】【ボードゲーム】【都市爆撃】【第二次世界大戦】