付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「サージャント・グリズリー」 彩峰優

2008-02-21 | その他フィクション
「救出活動なんてね、人質を捨てれば案外簡単に片付くイージーな問題なの」
 助けに来たはずの人質をあっさり盾にした少佐の言葉。それは「救出」ではないよね……。

 いじめられっ子の玖流玖準を助けたのは転校生の銀髪美少女。でも助けられた準にはハイイログマのぬいぐるみをかぶったマッチョな男にしか見えなかった。しかも黒い軍服。
「グリズリー・軍曹と申します。ふつつか者ですが、どうぞよろしく」
 呆然とするしかない準に、グリズリー軍曹は友人成立だと親しく接してくれるのだが……。

 つかみのインパクトは十分。面白かった。でも構成は荒削りで、個人的には途中失速した感じ。
 たぶん、それが面白いと思ってやっているんだろうけれど、準から焼きそばパンとかタバコとか200円前後の金品をたかろうとする不良は徹底的にぶちのめして「弱者を救うのも我が使命と考えている」なんて言っていた軍曹が、いきなり生活費1万円を取り上げて買い物しちまった妹の「少佐」や豚だなんだとののしり袋だたきにする剣士・美月の行動は見事にスルーするかなあ?
 あるいは死んで良い人間といけない人間がいるのか、軍曹周囲の人々が準にだけクマやサーモンやブルドッグに見えるのには理由があるのか無いのか。
 そういう不徹底というか不整合な部分が喉に刺さった小骨になってしまいました。(08.02.17)

 中2長男もいつの間にか読了していたというので訊いてみた。
「200円のパンをおごらせ袋だたきなのに、1万円の本はスルーって許せるか?」
 そしたら
「サーモン本だからOK」
 そうかっ! サーモンだからOKかっ!!……って、違うべ?

【サージャント・グリズリー】【彩峰優】【グリズリー】【裏の世界】【サーモン】【居候】
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「真夏の夜のケツバット~なつき☆フルスイング!2」 樹戸英斗

2008-02-21 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「現実は、火星の環境よりも厳しいよ……」
 就職戦線で苦戦する浅切直美のぼやき。

 夢魔は存在する。
 人の心の弱みや悩みにつけこみ、夢を叶えてやる代わりに生命力を吸い取っていくのだ。契約もしないのに勝手に願いをかなえていく悪魔のような連中だ。肩を壊した野球選手に元通りの球を投げる力を与え、足が動けなくなった陸上選手に元気に駆け回る脚を与える。でもそれはすべてまやかし。
 その夢魔を宿主から追い出し滅するには、特殊な金属バットで相手の尻を思いっきりぶっ飛ばすこと。だが智紀と夏希の持つ金属バット型夢魔殲滅用個人兵器は既に機能停止寸前だった。
「軽いノリでブルマーが穿けますか! あたし、あと半年足らずで25になるんですよっ!?」
 そして2人の前に現れた巨象機関のオズワルド博士とジェシカの目的は何か!?

 ケツバットで夢魔と戦う『なつき☆フルスイング!』の第2作。
 壊れかけたケツバットで小説世界に逃避する女子中学生を救おうとしたり、夢魔の力で走れるようになった陸上選手をまた歩けない身体に戻さなくてはいけないとか、なかなか葛藤の多い3話構成。新たな夢魔砕きバットを手に入れるために、彼らが支払った代償とは何か。
 きっちり重いテーマを描いてもさらっと軽いノリの展開で流せるのも、「夢魔を祓うにはケツバット」のアイデアのおかげです。

【真夏の夜のケツバット】【なつき☆フルスイング!2】【樹戸英斗】【夢魔】【ケツバット】【実験体】
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