付け焼き刃の覚え書き

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「戦略拠点32098 楽園」 長谷敏司

2008-02-06 | 超能力・超人・サイボーグ
「兵士は、兵器を扱う『能力の束』であるべきなのだ。人間性は、一瞬を争う場面では、性能を下げる不純物でしかない」
 要塞艦<パンタグリュエル>制御官ガダルバ。

 汎銀河同盟と人類連合の戦争が始まって1000年。
 <拠点32098>と呼ばれるのは不可解な惑星だった。惑星は未改造で、その地表にも地下にも人工物らしいものは何もない。しかしこの星を守る人類連合は一歩も退くことなく戦い続け、だから攻める汎銀河同盟も攻撃の手をゆるめない。そしてその間も、何もないはずの惑星に大破した戦艦が次々に降下していくのだ。
 その<拠点32098>の戦いが膠着して3年目。<拠点32098>の正体を探るべく降下部隊が次々に送り出されるが、その防衛線を突破して地上にたどり着いた者はほとんどいなかった。
 だがR777特別降下チームのたった1人の生き残りであるサイボーグ兵士ヴァロワが九死に一生を得てたどり着いた地表で出会ったのは、制御官と呼ばれる人類連合の強化兵と10歳ほどの黒髪の少女マリアだけだった。

 長谷敏司のデビュー作にして、第6回スニーカー大賞金賞作。
 楽園のような自然の大地に、墓標のように突き刺さっていく大型戦艦や要塞艦。そして大気圏外では艦隊戦が続く中で、静かに暮らす少女と2人のサイボーグ兵士が織りなす物語。CHOCOのイラストがよく似合う佳作です。

【楽園】【イチゴ】【サイボーグ兵士】【記憶】
コメント
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