付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「クダンの話をしましょうか2」 内山靖二郎

2008-02-10 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「パスタ1kg、128円!」

 鵺を追い求めて放浪するクダンの物語の第2作は、コロポックル伝説を追っての北海道編! この街に出没し、手形を残していくというコロポックルとは? 今回のクダンは喫茶店でバイト。ナポリタン・スパをマスターすべく奮戦します。
 人の未来を見る力を持つけれど、それを本人に告げてしまえば、その相手の未来からも過去にもクダンは居なくなってしまう。思い出せないし、二度と出会うこともなくなる。けれども親しくなった人の不幸な未来を視てしまったら告げないこともできない。だからクダンはいつもひとりぼっち。彼女の周囲にいるのは、相棒のバクと、彼女に鵺に関係しそうな噂を伝えてくるキリンのみ。
 そして彼女は貧乏旅を続けるのです。

【クダンの話をしましょうか】【内山靖二郎】【鵺】【件】【クダンの話をしませんか】【ソフトクリーム】【コロポックル】
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アンの娘リラ」 L・M・モンゴメリ

2008-02-10 | その他フィクション
 カナダの作家モンゴメリによる、『赤毛のアン』などで知られるアン・ブライス(旧姓シャーリー)の末娘を主役にした物語。アン・シリーズの10作目だけれど、内容的には枝編というかアボンリーの街を舞台にした別シリーズみたいなもので正編には数えないらしい。
 こういう話はいつの話かはっきりしないものが多いけれど、この『アンの娘リラ』についてははっきりしていて、逆算で他の作品の年も確実に計算できます。今まで聞いたこともないヨーロッパの街でどこかの大公が殺された年。

 バーサ・マリラ・ブライスはちょっと可愛い14歳の少女。彼女の夢は姉たちのように(田舎町の)社交界へデビューして崇拝者を何人も手に入れ、パーティーでちやほやされること。ところが彼女の初めてのパーティーは台無しになった。いきなり飛び込んできた誰かが戦争が始まったことを告げたのだ。
 遠い国の戦争など関係ないと少女たちは思っていたが、それは間違いだった。
 やがてカナダも参戦し、彼女らの兄弟が、友人が、恋人たちが志願して戦地へと旅立ち始めたのだ……。

 第一次大戦時のプリンス・エドワード島の田舎町を舞台に、それまで世界といえば自分たちの住んでいる町がすべてで、せいぜい近くの街までという人々が遙かヨーロッパの戦況やアメリカ大統領選挙の結果に一喜一憂するようになっていく中、年相応に見栄っぱりでワガママだった少女がさまざまな人々との出会いや別れを経験しつつ、1人の女性として成長していく姿を描く銃後の物語で、女たちに勇気が無ければ男は勇敢に戦えはしないという話。あの、頑固っぷりはまさしく母親譲り。

「僕ならカイゼルをいい人にするな--僕ならそうしたいな--そうなったらいい気味だ」
 まだ幼いブルース・メレディスは、戦争を引き起こしたドイツ皇帝に与えられるべきいちばん重い罰は、自分のしたことを理解することだと考えた。

 村岡花子の訳は名訳だけれど今となってはかなり古いのは仕方がないですね。掛川 恭子訳も験してみましたが趣味にあわない。花岡訳に慣れたせいでしょうか。でもまあ、慣れて無くても「マダム・白黒」よりは「黒と白の老婦人」、「頬ひげを生やした月」より「月に頬髭」、「信頼に応える」よりは「誓いを守る」の方が好みにはちがいありません。

【アンの娘リラ】【L・M・モンゴメリ】【新潮文庫】【講談社文庫】【自由の代償】【熱狂的愛国的異教徒】【戦時国債】【反戦論者】【戦争孤児】【戦時下結婚】【帽子】【キッチナー】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする