付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「貴婦人の薔薇~女魔術師ポルガラ」 デイヴィッド&リー・エディングス

2008-02-05 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 エディングスの『ベルガリアード物語』『マロリオン物語』の外伝で、前日譚をポルガラ視点から語ったもの。この話はなんというか……「俺の屍を超えてゆけ」って感じ? たった1つの血筋を守り、宇宙創生からの歪みに決着をつける為だけに生まれ死んでいく人々を見守るポルガラの物語。

「血の海を歩くのは、最良の愛情表現ではない」
 大事な友人を殺され復讐に狂う娘をいさめるポレドラの言葉。

 今でも世の中は自己満足で海を往きたがる者ばかりですよ……。

「どんな国境だろうと、あっち側にいる人間は人間じゃないの。だから、あっち側の連中がたまたま合法的に何かを所有していても、それはこっち側にいる本物の人間のものだというわけ。世界中の人間がそう思っているわ」
 国境に近くなるとどうして人間の最悪の部分が表面化するのかという疑問に対するアスラナの答え。みんながみんなお互いに「あいつらは人間じゃない」と思っていたら、どうにもならんわな。確かに殺伐とした人生観ではあるけれど。

 アスラナは若く聡明で美しい娘ではあるけれど、エディングスの作品に登場する美女・美少女のご多分にもれず、目的を達成するのに最善の方法と確信すればこれっぽっちも手段を選ばないキャラクター。毒薬と短刀。歴史に埋没するには惜しいキャラです。

【女魔術師ポルガラ】【デイヴィッド&リー・エディングス】【狼】【都市の滅亡】
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「どくろ観音~千両文七捕物帳」 高木彬光

2008-02-05 | 時代・歴史・武侠小説
 神田白壁町の捕り物名人、千両文七が、天狗が、鬼が、山姥がと江戸を騒がす怪事件の数々を、一の子分、合点勘八と共に一刀両断に解決していく。

 自分の書いている文章が、あれこれ細かいことを書きすぎて回りくどくなっているなと思うときは捕物帖とかを読み返してみたりします。この『どくろ観音』の場合だと、1冊で12話収録なので、平均すると1話24頁の計算。この枚数で怪事件が発生し、それにまつわるさまざまな色恋や親子関係とか因縁話が一刀両断され、謎解きされて事件解決してしまいます。もうあっけにとられるくらい。
 でもちょっと死にすぎみたいな気がしますけれどね。
 被害者はもちろん死ぬけど犯人も最後は死ぬパターンが多いよね。同じ簡潔な『顎十郎捕物帳』の場合は「謎解きに興味があるだけで、犯人が捕まるかどうか興味ないね」というキャラだけれど、こちらは話を簡潔に整理するためにみんな殺しているような気がしないでもないけれど、穿ち過ぎかな。

【捕物帖】【鬼】【入れ墨】【復讐】
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