付け焼き刃の覚え書き

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「マリア様がみてる/いとしき歳月(後編)」 今野緒雪 08

2009-03-18 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「私は今日も明日もいつもと変わらぬ日常でありたいの」
 卒業式の日の蟹名静の言葉。
 そして、その潔い背中にカメラを向けながらシャッターを切らなかった武嶋蔦子さん。彼女たちの人間としての感性が好きです。

 卒業式を目前に、少女たちは今までとは少し違った行動を取るようになり、ときにはちょっぴり大胆になってしまう……というと誤解を招きそうだけれど、送る人、送られる人それぞれの思いを描いた「will」。出会いと別れを回顧しながら卒業式に挑む卒業生たちの姿を描いた「いつしか年も」。そして、最後に時間を遡って、聖と志摩子が姉妹の契りを結ぶまでを描いた「片手だけつないで」。
 少女たちの出会いと別れを綴る3編の物語。

 ……とまとめると、何か厳粛な出会いと別れの話にも思えるけれど、「片手だけつないで」以外は実も蓋もないけれど前向きで気持ちの良いお話なんじゃないかと思います。これも区切りと言うことで、人それぞれがいかに日々に区切りをつけてみるかということですね。送る方がこれから今までと違う生活が始まるという不安があれば、送り出す方にも学年が1つ上がって役割も責任も変わっていく不安があるわけです。

 君とじゃれ合っているのは、本当に幸せだった。祐巳ちゃんになりたい、って私は何度か思ったよ。

 白薔薇さま。
 卒業しちゃってもいいよ。

 佐藤聖の言葉を受け、答え、1回オチがついて、そして最後に、もう大丈夫だから卒業しても良いよ……と少女が成長して大事な人たちを送り出すまでの物語。

【マリア様がみてる】【いとしき歳月】 【今野緒雪】【卒業式】【桜の木】【ホットミルクのいちご牛乳割り】【遺言】
コメント
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