付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「マリア様がみてる/いとしき歳月(前編)」 今野緒雪 07

2009-03-11 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 世の中は卒業式も一段落し、公立高校の受験本番で周囲も新聞も慌ただしいこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
 自分の頃を思い起こせば、ただただこれからの新生活への期待と不安に翻弄され、あまり友人たちとの名残を惜しむ余裕もなかった気がしますが、こちらの小説の方も卒業式シーズンに突入したところです。

 黄薔薇さまこと鳥居江利子に援助交際疑惑がわき起こり、生活指導室で前代未聞のクライマックスを迎える「黄薔薇まっしぐら」。その事件を江利子視点で再話した「一寸一服」。そして、卒業生を送るためのイベントに奔走する日々の物語が、薔薇の館での抱腹絶倒のクライマックスに集約する「いと忙し日々」の3本立て。

「本人が思うよりずっと、治癒力ってあるもので、友達ってやつもね、かなり有効な薬なんだって」
 佐藤聖の言葉。

 公式サイトのあおり文句「下級生たちの愛憎のドラマはクライマックスを迎える」に異議を唱えて、どこに「憎」があるか小一時間問い詰めたいところですが、それはさておき3年生の薔薇さまたちにもやっと馴染みができ、キャラクターにも愛着が湧いたところでの退場劇。もったいない気もしますが、少し物足りないくらいがちょうどいいのかもしれません。
 メインとなる登場人物たちもキャラクターが立ち、美術部とか新聞部とか山百合会メンバー以外の一般生徒への言及も増えてきますので、群像劇として追いかけるのも楽しくなってきました。

【マリア様がみてる】【いとしき歳月】【今野緒雪】【お別れ会】【がってん承知の助】【百面相】
コメント
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