付け焼き刃の覚え書き

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「皇子と皇女~反逆者の月3」 デイヴィッド・ウェーバー

2009-03-20 | ミリタリーSF・未来戦記
「子供たちは、われわれ大人とは違う時間軸の上で生きているんだよ」
 帝国海軍元帥ツィエン・タオリンの言葉。

 細菌兵器の猛威によって滅んだ銀河帝国のシステムをコリン・マッキンタイアが掌握し、第五帝国を樹立して10年以上が経過していた。しかし、反乱者アヌ大佐の組織したグループは殲滅されておらず、ショーン皇子とハリエット皇女を乗せて訓練航海に出立した新造戦艦<インペリアル・テラ>が爆沈してしまう。だが、それは帝国を狙う陰謀の第一段階に過ぎなかった……。

 ウェーバーといえばミリタリーSFですが、地球の近代以前の戦闘の雰囲気を意図的に残してまして、オナー・ハリントンの宇宙艦隊戦などは帆船の戦いさながらの地獄絵図だったりします。
 今回もハイテク兵器を使ったテロリストや反乱勢力との戦いが随所で繰り広げられますが、基本はマスケット銃と長槍が活躍する前近代戦。横殴りの一斉射で肉片が飛び散り、銃剣による白兵戦が繰り広げられる戦いです。
 シリーズ3部作完結編の本作は頁数が2倍ですが、これは2冊分はあるだろうエピソードを1冊に収めているからで、最後まで物語は二転三転して息抜きする暇がありません。このあたりの国家の覇権を賭けた諜報戦と宗教施設の中枢に辿り着くための前近代戦という構成は、パーネルの『デイヴィッド王の宇宙船』と似てるかな。ああいう雰囲気が好きな人には文句なしの1冊。
 注文をあえて付けるなら、パーダル編にもエピローグの1章を割いて欲しかったかな。まあ、余韻ある洒落た終わらせ方といえばそうだけれど、最後の場面にメインキャラの姿がないのは寂しいですね。

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コメント
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