付け焼き刃の覚え書き

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「捕虜収容所の死」 マイケル・ギルバート

2009-03-28 | 戦記・戦史・軍事
 密室殺人です。それに大脱走がついてきます。

 場所は第二次大戦さなかのイタリア、第127捕虜収容所。その脱獄用トンネルの工事現場で1人の男が死体で発見されます。トンネルの入り口は巨大なコンクリートの蓋で隠されており、開けるのに4人の男の力が必要で、しかも殺された男はトンネルが掘られているのとは別の収容棟にいたはず。
 狭い部屋に定員以上の捕虜が押し込められてプライバシーなどないも同然。しかもイタリア軍が監視する中、男を殺し、誰も入れないはずのトンネルに死体を残した犯人は何者なのか……?

 殺人事件の犯人捜しと収容所脱走計画とが、それぞれ密接にからまりながら同時進行し、さらにはシチリア島に連合軍が上陸したことでタイムリミットが生じます。連合軍が進攻してくることで、イタリア軍が捕虜をさらに別の場所へ移動させたりドイツに引き渡すことも考えられるからです。しかも内部にスパイがいて情報を漏らしている気配があり、それと殺人事件との関係もはっきりしません。
 刻々と状況が悪化する中、犯人捜しを続けるヘンリー・ゴイルズ大尉の話ですが、このさまざまな要素を絡めながら、すべてきっちり処理するあたりが巧いと思いました。良質のサスペンス&ミステリーでした。

【捕虜収容所の死】【マイケル・ギルバート】【密室殺人】【大脱走】【カラビニエーレ】【戦犯】
コメント
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