付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「マリア様がみてる/ウァレンティーヌスの贈り物(前編)」 今野緒雪 05

2009-03-07 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「リリアンには素敵な女性がたくさんいるわ。それを一人に絞るなんてできると思う?」
 盗撮ギリギリの行為を繰り返す写真部のエース、武嶋蔦子さんの言葉。この頃は、まだこういうキャラでした。

 2月14日は、お菓子に自分の気持ちを込めて相手に贈る日。しかし、人それぞれに悩みがあって……というバレンタインデーの一幕に、バレンタインデーの特別企画として新聞部が考えついた宝探し大会(薔薇のつぼみとの半日デートの副賞付き)の顛末「びっくりチョコレート」と、黄薔薇ファミリーのバレンタインのケーキを巡る小編「黄薔薇交錯」を収録。

 この巻でまかれた伏線が約30巻後にきちんと回収されたときには小さく拍手しました。うん。言わぬが花という言葉もあるように、わざわざいちいち説明してオチをつけるのも野暮ってもんですが、小粋に抑えるのも大事です。
 さて、この巻はまだ、登場人物たちが互いに試行錯誤しながら立ち位置を決めている感じで、今あらためて読みかえすとなかなか初々しいですね。メインの紅薔薇のつぼみ姉妹が何度も行き違い、崩壊しそうになる寸前ですくい上げるのがいちばんちゃらんぽらんそうに見える白薔薇さまなわけで、こういう関係が読んでいて心地よいと思えるのは少しずつでも彼女たちがより良い方向へ変化していっているのが実感できるから。
 失敗するのは仕方がないけれど、そこから学んで変わっていかないといけません。

【マリア様がみてる】【ウァレンティーヌスの贈り物】 【今野緒雪】【バレンタインデー】【温室】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする