付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「レジンキャストミルク7」 藤原祐

2009-06-26 | 超能力・超人・サイボーグ
『言いたいことが山ほどあるってのは、そういうことか。
 ようやく気付いた。
 何だ、私。
 この世界、好きだったんだ』


 終わりが始まり、始まりが終わる。
 もはや、何が「虚」で何が「実」かは関係ない。自分の望んだ世界が残ればいいのだ!

 君子たちと愉しく街で遊ぶ硝子を見た舞鶴蜜は【無限回廊】や城島樹らと戦う気があるのかと城島晶を問い詰めるが、晶はこれこそが戦いなのだと答える。自分は硝子たちの日常を守るために戦う。そのためにも彼女たちには今まで通りの日常を過ごしてもらわねばならないのだと。
 そして、能力のほとんどすべてを失っても速見殊子の本質は変わっていなかった。虚軸という牙を持とうが持つまいが獣は獣であり、もっとも危険な少女だった。
 だが、彼らの前に現れたのは誰からも認識されなかった地味な少女【エデンの恍惚】。鴛野在亜はカッターナイフと毒蛇の牙で世界を作り替えていく。血と死と再生によって、自らの世界を取り戻すのだと少女は笑う。
 晶たちの反撃は間に合うのか!?

 まったく、こいつら異能戦士かい!と思いましたが、なんにせよ遅い、遅すぎる。一手遅い。
 果たして最終巻で挽回できるのでしょうか? 

【レジンキャストミルク7】【藤原祐】【椋本夏夜】【クレープ】【ハラハラ時計】【絶対言語】
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「ヨーロッパ退屈日記」 伊丹十三

2009-06-26 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
『諸君、食卓は憩いの場所である。安らぎの場所である』
『その平和の場へ、金属製のナイフとフォークという、凶器に酷似した、まがまがしい道具を持ち込むというのはいかがなものだろうか』
『そこへくるとわれわれの箸はどうです。
 この静かな簡素な形、竹や木で作られた素材感の好もしさ、しかもです、ナイフやフォークが、たかだか六、七世紀の歴史しか持たないのに反し、箸には二千年以上の歴史があるのです』


 映画俳優にしてデザイナー、エッセイスト、翻訳者、雑誌編集者そして映画監督である伊丹十三が、1961年に俳優としてヨーロッパ長期滞在したおりの見聞録をエッセイとして雑誌発表し、それをまとめた1冊。

 まだまだ日本人の海外渡航が難しかった時代の話です。ビートルズは嫌いではないけれど、その上っ面だけ真似たファッションはキライだとか、なにが粋でなにが粋でないか、男が生きていく上でこだわらければいけないことはなにか、そんなことにこだわりつつヨーロッパを眺め、日本を考えています。

【ヨーロッパ退屈日記】【伊丹十三】【嫌いなもの】【使い古された紋切り型】【ゲイリー・クーパー】【ミシュラン】【スパゲッティ】【三船敏郎】【英語と米語】
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