ハインラインといえばクラーク、アシモフと並んで海外SF御三家の1人であり20世紀を代表するSF作家。ときに右翼と呼ばれるくらいミリタリー系の作品が多い一方、『月は無慈悲な夜の女王』は社会主義革命バンザイの話だし、『異星の客』はヒッピーの経典と崇められたりしたそうな。
右に左に自由自在だけれど、原点は「無料の昼食などない(There Ain't No Such Thing As A Free Lunch)」。これは『月は無慈悲な夜の女王』にも略称が登場した格言だけれど(*)、ミリタリーSFの古典である『宇宙の戦士』でも兵役に就かなければ参政権がないという世界設定が根幹にあります。権利を行使したければ、まず義務を果たせと言ってしまえば簡単な話。
どの作品もそれぞれのジャンルの代表作となりうるハインラインだけれど、ベスト・オブ・SFといって常に上位に来るのがタイムトラベルがテーマでロマンティックSFの『夏への扉』ってあたりが面白い。まあ、ミリタリーとか宗教物の大長編というと敷居が高くなるからそんなもんでしょうか。
1970年12月。婚約者に裏切られ、仕事も発明も奪い取られてしまった男が30年後に蘇る冷凍睡眠を申し込んだ。再び甦生できる保証もない未来への旅に同行するのは猫のピートだけだったが……。
タイムパラドックスものだけれど、ネコ小説で、一種の恋愛小説で、「あきらめるな。幸せをつかむためにがんばれ」という話なので、そりゃあ面白いし、読んで元気が出るってもんです。今となっては「遙か未来」が2000年で、テクノロジー的にも古びて見える箇所は多いけれど、だからこそ古典として愉しめるのかもしれません。(09/06/24)
(*)ハインラインは1966年の『月は無慈悲な夜の女王』の中で「tanstaafl」という略称をキーワードとして用いたけれど、「無料の昼食などない」という言葉を有名にしたのはミルトン・フリードマンの1945年の論文であり、それ以前にも「フリーランチ(飲み物を1杯頼むと昼食サービスというようなアメリカで一時期流行したサービス形式)」に言及した同様の言葉はあったようです。「tanstaafl」という略称もハインライン以前の1949年に既に使われているみたいです。(09/08/04)
【夏への扉】【ハインライン】【タイムマシン】【猫】
右に左に自由自在だけれど、原点は「無料の昼食などない(There Ain't No Such Thing As A Free Lunch)」。これは『月は無慈悲な夜の女王』にも略称が登場した格言だけれど(*)、ミリタリーSFの古典である『宇宙の戦士』でも兵役に就かなければ参政権がないという世界設定が根幹にあります。権利を行使したければ、まず義務を果たせと言ってしまえば簡単な話。
どの作品もそれぞれのジャンルの代表作となりうるハインラインだけれど、ベスト・オブ・SFといって常に上位に来るのがタイムトラベルがテーマでロマンティックSFの『夏への扉』ってあたりが面白い。まあ、ミリタリーとか宗教物の大長編というと敷居が高くなるからそんなもんでしょうか。
1970年12月。婚約者に裏切られ、仕事も発明も奪い取られてしまった男が30年後に蘇る冷凍睡眠を申し込んだ。再び甦生できる保証もない未来への旅に同行するのは猫のピートだけだったが……。
タイムパラドックスものだけれど、ネコ小説で、一種の恋愛小説で、「あきらめるな。幸せをつかむためにがんばれ」という話なので、そりゃあ面白いし、読んで元気が出るってもんです。今となっては「遙か未来」が2000年で、テクノロジー的にも古びて見える箇所は多いけれど、だからこそ古典として愉しめるのかもしれません。(09/06/24)
(*)ハインラインは1966年の『月は無慈悲な夜の女王』の中で「tanstaafl」という略称をキーワードとして用いたけれど、「無料の昼食などない」という言葉を有名にしたのはミルトン・フリードマンの1945年の論文であり、それ以前にも「フリーランチ(飲み物を1杯頼むと昼食サービスというようなアメリカで一時期流行したサービス形式)」に言及した同様の言葉はあったようです。「tanstaafl」という略称もハインライン以前の1949年に既に使われているみたいです。(09/08/04)
【夏への扉】【ハインライン】【タイムマシン】【猫】