「軍は一種の特殊社会であり、その既得損益を守ろうと必死になるものです。自らが滅ぶまで戦争に執着する」
浅井総合研究所・浅井遊馬の言葉。
シベリア方面から東北に侵攻してきた新たな幻獣勢力との戦いを描く『逆襲の刻』の3冊目です。
文字通りエース部隊として戦線を切り裂き、孤立した味方のハリネズミ陣地へと物資を運ぶ隊列を守って戦う5121小隊。彼らのような華々しい戦いはできないけれどと、その足もとで大きな犠牲を出しつつもゴブリンの掃討を続ける学兵たち。
けれども、クーデターの余波で優秀な憲兵・防諜スタッフは首都圏に張りつけとなり、その間隙をぬって幻獣共生派が台頭。またクーデターを起こした主戦派もまだ完全に制圧しきれてはいなかった……。
動員・編成から補給の大事さまで戦争のシビアさを忘れないと同時に、学生らしい陽気さを忘れない姿も描いてきた榊ガンパレですが、このシリーズは息抜きが少なくて泣けてきます。
今までは「人ならぬ敵」との戦いと割り切ることで敵を倒しても良心の呵責にとらわれることはありませんでしたが、「幻獣も別世界の人間が変異した姿」と提示され、それと入れ替わるようにこの期に及んで主導権を握りたいという人間同士の殺し合いがクローズアップされていきます。
せめて大阪第4師団のしぶちんぶりを、もう少し見たかったなあと思いました。
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