付け焼き刃の覚え書き

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「フラン学園 会計探偵クラブ」 山田真哉

2010-02-25 | 学園小説(ミステリ)
 ヨット部に入ろうと期待に胸を膨らませて私立芙藍(フラン)学園に入学した杏莉だったが、ヨット部はなぜか突然に廃部となっていた。
 彼女の前に現れた謎の美女は「真相はここに書いてあるわ」と1枚の紙切れを手渡したが、それは確定申告書の第1表だった。
 第1表って、なに……?

 1枚の確定申告書からその裏に隠された意味を読み取る会計探偵クラブの活躍を描く連作短編集。「税金が分かる」というより「確定申告書から何が読み取れるか分かる」というビジネス・ミステリかな。ラノベ気分で読める税金のうんちく本。
 税金の話なのだけれど、著者が会計士のせいか、会計士は凄くて、税理士は会計士資格を持っている人間が余技に名義貸ししてもできる仕事……みたいな記述がちらほら見られ、真面目に職業倫理に従って職務を遂行している税理士さんは怒るだろうね。無免許運転を見つけた第三者が「知り合いが免許を持っているから、その人が運転していたことにすればいい」と提案するような話です。
 そういう意味では「一般人の確定申告への理解を深める」というより「会計士のイメージアップ」に貢献している作品。角川書店から文庫が、東洋経済新報社からソフトカバー版が出ているけれど、読み比べていないので中身が同じかは不明。
 高校生が主人公のライト・ミステリとしては標準。登場人物の理不尽な言動がなにかと気になりましたが、そもそもこの学園の設定そのものが理不尽なのかも知れません。自己責任のシステムと言いつつ、他人の債務を別の人格に負いかぶせるようになっているのですから……。

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コメント
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