付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「新・特捜司法官S-A(10)」 麻城ゆう

2010-02-05 | 超能力・超人・サイボーグ
「君が、僕の理想のネオヒューマンだったんです」

 シリーズ完結。『特捜司法官S-A』の物語もおしまいだそうです。
 大団円かどうかは読む人にお任せということですが、安心して読み終えることのできたシリーズでした。
 頭脳も肉体も「人間」以上であり、警察から司法まで犯罪に対する生殺与奪のすべてを与えられた存在でありながら、あくまで“道具”として耐用年数が過ぎれば破棄されるしかない「合成人間」の特捜司法官。今回はそれに第三の存在として、「人間」を継ぐ者として台頭しつつある「ネオヒューマン」を絡めての事件でしたが、ここは「人間」vs「ネオヒューマン」だけでなく、「合成人間」も絡めてのテーマにまで発展させて欲しかったなと、そこが残念。
 それから、全体として伏線を張って回収する流れにちょっとムラがあって、10巻になってバタバタと畳まれた印象がありました。いや、10巻で大団円を迎えようとは、9巻を読み終えた時点では想像できませんでした。
 そんなことを言いつつも、面白い物語であり、愛おしいキャラクターたちでした。

【新・特捜司法官S-A】【ジョーカー外伝】【麻城ゆう】【道原かつみ】【スポンサー】【超高度量子通信システム】【メル友】
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「グロリアスドーン2・3」 庄司卓

2010-02-05 | バイオシップ・人工知能
「アウグストダスクは頭が悪いのですが、トランクルナイトは性格が悪いです」
 ティセによる妹評。

 地球人を共生のパートナーに選んだbioクラフトの物語は、審判の四姉妹、刃の次女<黎明>ことティセ・グロリアスドーンの2人の妹とティセに付き従う騎士級bioクラフトのアイシャ・ノーブルウィンドの登場編とあいなります。

 “頭が悪い”ティル・アウグストダスクが悪いbioクラフトに騙されていた頃、“性格が悪い”方の収穫の四女<宵闇>ことティオ・トランクルナイトのbioパートナーとなった中学生・逢瀬桜子は、犯罪行為をおこなうbioパートナーを襲撃してはパートナー契約を強制解除させていた。
 それはbioクラフトに関わる問題はbioクラフトによって解決するという原則からは外れていなかったが、桜子のニセモノが犯罪を犯してもいないbioパートナーまで襲撃し始めたことから、事件は大きくクローズアップされることになった……。

 もうちょい、もうちょい……かなあ。3巻のエピローグに大バケしそうな予兆を感じ取りましたが、まだ個々のキャラがかみ合っていない気がするので今後に期待。
 なにせスケールが大きい話です。日常でシュークリームは完璧な丸の形になっていないと大騒ぎするレベルのやりとりがおこなわれる一方、ちょいと飛び立っては遙か彼方の恒星系に出かけてきたり、本気で姉妹ゲンカをしたら銀河系の1つや2つは消えてしまうという何万光年レベルの話を同列でやっています。このかみ合わせが、まだしっくりきていません。エセ日系アメリカ人ことクイックストーンさんとか、『王子さま先生』とか、まだちょいとばかり浮いている気がしないでもありません。

【グロリアスドーン2】【少女は夕暮れに遊ぶ】【グロリアスドーン3】【少女は宵闇に彷徨う】【庄司卓】【四季童子】【シュークリーム】【目玉焼き】
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