付け焼き刃の覚え書き

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「ドキュメント《スター・ウォーズ》」 ゲリー・ジェンキンズ

2013-07-05 | 伝記・ノンフィクション
「シニシズムから何かを学ぶことはできても、それを基盤として創造することはできない」
 ジョージ・ルーカスの言葉。

 子供の頃に映画館で夢中になって観た「フラッシュ・ゴードン」のようなSF活劇を作りたいと思い続けていたジョージ・ルーカスは、やがて映画監督として頭角を現し、日本映画「隠し砦の三悪人」に着想を得たSFアクション映画の製作に取りかかる。
 だが、シナリオは二転三転し、予算は膨らみ、時代遅れのSF映画に大金を注ぎこむことなど愚かなことだという周囲の批判、続発する事故と、ジョージ・ルーカスはすっかり疲れきった状態で公開日を迎えたのだが……。

 1977年5月25日に封切られた映画『スター・ウォーズ』の誕生と興亡のドラマは、作品の内容以上にドラマチックだと、監督であるジョージ・ルーカスの生い立ちを家庭環境から語り、やがて映画青年となっていく姿から、「スター・ウォーズ」の製作に突入し、成功し、そして集まった仲間たちと意見や行く道が異なって別れていく姿を追ったドキュメンタリー。結論から言うと「なんでヒットしたか誰にもわからない」。

「誰も、何もわからないのだ」
 ハリウッドの脚本家ウィリアム・ゴールドマン。

 確かに事前にSF大会などでPRを繰り返し、公開前から前例のないノベライズやコミック化、積極的に玩具の商品化を推し進めていたけれど、どれも決定打とは断言できず、次々に討ち死にしていった類似作品とどこが違うのか、はっきりしたことは誰にもいえなかったのです。

 なんにせよ、スター・ウォーズ以後、SF映画の技術は飛躍的に発展したし、映画館が総入れ替え制になったのもスター・ウォーズがきっかけなのですが、成功によって巨大化したルーカス・フィルム自身が、かつてあれほど嫌った大手映画会社と同じように変質していくことになります。まさに興亡。 
 訳者でもある、野田昌宏の特別エッセイ付き。

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