付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「月曜日は魔法使い」 シェリー・マザノーブル

2008-04-06 | エッセー・人文・科学
「最初、私はお断りしたの。自分はそんなことする子じゃないって思ってたから」

 シェリーは体型の維持とオシャレに気を使う、普通のOL。それがTRPGなんかに誘われてしまったのは、多分勤め先がウィザーズ・オヴ・ザ・コーストなどというカードゲーム会社だったからかもしれない。
 社交辞令で誘いに乗ってしまったことから始まる、134歳の女ソーサラーの冒険。

 シアトルタイムズ紙の人気エッセイストが、OL時代に遭遇した世界一有名なRPGについて、女性読者を対象に、自己の体験を交えつつ紹介した1冊。自伝みたいなものであり、リプレイであり、ハウツー本でもあり。
 表紙は日本向けに描き直してありますけれど、中身はあちら版のまま。それに横書きは読みにくいけれど、欄外にうじゃうじゃと追加されている日本語版の補注はありがたいな。『フィレネズ・ベースメント』といわれたって、解らないもん。
 まあ、中身そのものに目新しいことは書いてないけれど、解釈は面白い。たとえば、このゲームにつきものの、善・悪・秩序・混沌の組み合わせによる属性を、「混沌にして善」なら過激な動物愛護団体になぞらえてあるんで解りやすい☆ そうかあ、そういう解釈ができるんだという箇所が色々。
 本来のターゲット層ではないですが、なかなか面白かったです。

【モノポリーで書き換えられた遺言状】【セレブ】【ホームパーティー】
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「星を帯びし者」 パトリシア・A・マキリップ

2008-04-05 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 これが刊行された頃のハヤカワFTって、マキリップとダンセイニが2本柱でしたよね。試行錯誤の時期というか、とにかく幻想文学の王道路線を突っ走っていたのです。
 『星を帯びし者』に始まるイルスの堅琴シリーズは、ストーリーそのものは指輪物語とかの系統の正統派ファンタジーでしたが、誰に勧められたのかな? 確かオダさん。指輪物語もオダさんに借りたもんなあ……。高校時代の新聞部室で成田美名子とかと一緒に回し読みしていました。
 時代的にはLaLa創刊期あたりの話で、表紙イラストの山岸涼子がインパクトありました。『日出処の天子』とかみんな読んでたから。今でいうライトノベルみたいに「表紙にマンガ家を採用する」ってのが、あたりまえになりはじめた時代。コバルトではかがみあきらやめるへんめーかーや竹宮恵子が表紙を飾り、ハヤカワでは松本零士や萩尾望都や山岸涼子や内田善美やおおやちきが頑張っていたのさ☆
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「てのひら島はどこにある」 佐藤さとる

2008-04-04 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 虫の姿をした小さな神さまたちがいました。泣き虫、おこり虫、えばり虫……。この目に見えない神さまたちは人間にかみついて怒らせたり泣かせたりするのが仕事なのですが、あるとき神さまたちの花畑にひねくれ虫がやってきたことから騒動が始まります。

 小さな女の子がおばあさんにお話をせがみ、おばあさんは「いたずらっこの太郎をいましめるためにお母さんがいたずら虫の話をする」話をして聞かせ、いたずら虫たちは……という、入れ篭構造の不思議な童話。
 佐藤さとるのコロボックル物語シリーズは好きな話なのだけれど、これはそれと根っこを同じとする作品。モチーフとなる短編が1つあり、それをそれぞれ別の方向へ伸ばしていったのですね。
 存在は知っていたけれどなかなか読むことができず、たまたま近くの図書館で放出処分になった書籍の中に佐藤さとるファンタジー童話集があったのを手に入れたのでした。
 読み聞かせている次男は小学4年生。なんのかのといいながら、わくわくしながら聞いていたようです。

【てのひら島はどこにある】【語られない物語】【ボーイ・ミーツ・ガール】【谷間の家】
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「強救戦艦メデューシン」 小川一水

2008-04-03 | その他SF(スコシフシギとかも)
 資源獲得を目的に南方諸島へと侵攻したフレナーダだったが、ココン協治国の反攻に苦戦し続けて16年。国内からの批判をかわすためフレナーダ政府は巨大な航空機を建造し、医療専門の強救戦艦を編成して戦線へと投入し始めていた。
 天翔る大病院である強救戦艦の1隻<メデューシン>に配備された、第911医療衛生大隊第39看護班は敵味方問わない医療活動を懸命に続けていたが、単に戦地における民間人の憎悪を受けるばかりでなく、いつしか国家間の謀略に巻き込まれ、壊滅の危機にさらされていた。

 軍用機として十分活躍できる機体を人道目的に転用する智慧があるなら戦争なんかするなよという話ですよね。「強救」で「戦艦」という時点で十分に間違っている気がしますが。
 けなげな看護婦さんたちが周囲から憎まれ、命の危険にさらされながら、戦病兵の手当や伝染病の治療に当たり、人間の命を救おうと奮闘するのですが、なんかひどく報われない話ですよね。けなげというより痛々しい。

【メドシップ】【謀略】【伝染病】
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「連携~仮面ライダークウガ」 監督:金田治

2008-04-02 | 超能力・超人・サイボーグ
 行きつけのCDショップが閉店したときの叩き売りで『仮面ライダークウガ』のDVDを1枚だけ。本当は全部そろえたかったけれど、いろいろ物いりで余裕がなかったので仮面ライダーは8巻を。まあ、周囲の評価も「いちばん盛り上がる回のあたりだよね」ということなので、全話のうちどれかとなったら、このチョイスで正解でしょう。

 偶然に超戦士クウガの力を手に入れてしまった五代雄介は、人間をゲームのように殺して回る謎の怪人たちと、わけのわからないままに戦い続けることになる。一方、最初に事件が発生した長野県の刑事、一条薫は一連の未確認生命体による殺人事件が広域指定され、合同捜査本部が設置されたのを受けて東京へと出向。そこで五代と知り合い、彼がクウガであることを知る。
 やがて五代と一条の戦いに仲間が集まってくる。関東医大病院に勤める椿医師、古代文字の研究者である沢渡桜子、一条の同僚である杉田刑事……。
 しかし公式にはクウガは他の怪人と同じ「未確認生命体第4号」でしかなく、怪人の死の際の爆発被害が広がるに従い、警視庁上層部はクウガ切り捨てを計る……。

 それまでなし崩しに草の根レベルでクウガと警察や関連組織との連携が進んでいたのがいったんここで白紙に戻り、あらためて「どうすべきなのか?」という問いかけがなされることになります。対峙する敵グロンギ怪人がこれまた赤いマフラーをしてバイクに乗ったバッタ男で、ターニングポイントにふさわしい強敵でした。
 大人の鑑賞にも堪えられる出来で、しかも子供が夢中になってみていた作品でした。このあとのシリーズ、しばらくはイケメン俳優がわさわさ出てくる一方、話はなにか陰湿で複雑で、しかもよく考えたら論理的に破綻しているようなものが増えてきて、いつしか我が家の子供もほとんど観ないようになっていました。
 再び熱心に日曜朝の仮面ライダーを観るようになるには、『響鬼』『電王』を待たねばなりません。

【仮面ライダー】【遺跡】【古代文明】
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「デュラララ!!×4」 成田良悟

2008-04-01 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「愛にはブレーキもアクセルも必要ないのよ? だって、想ったときには既に相手に辿り着いているものなんだからね」
 矢霧波江の言葉。

 池袋の交差点で信号待ちしていた首無しライダーを生中継のテレビ局のカメラが捉え、かけられた1000万円の賞金目当てに暴走族が群がってくる。正体不明の凄腕殺し屋と、ハリウッドモンスターのメイクをした猟奇殺人鬼が公園で死闘を繰り広げ、フェラーリはアイドルを跳ね飛ばす!
 しかし、それさえも、池袋という街にとっては平和な休日の一コマに過ぎなかった……。

 池袋の街を舞台に怪人奇人が乱舞する『デュラララ!!』も4冊目。
 見た目がまともそうなヤツほどイカレてて、多分いちばんまともなのが首無しライダー、デュラハンのセルティさんというのが泣かせます。今回登場の、寡黙でいつも体操服姿のクルリと、眼鏡にお下げ髪のセーラー服少女マイルの折原姉妹なんか、かなり危なくて変だけれど、まだ普段の外見や行動が周囲と浮いているだけまともかも。
 小市民的な平和を願うセルティを応援せずにはいられません。

 ちなみに別の作品、鈴城芹の『家族ゲーム2』からセリフを1つ。
「愛は年齢も性別も法律も越えますから」
 江西ゆかりの言葉。愛って怖い。

【血筋】【給料袋】【白バイ警官】【バーテンダー】
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