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今日は立春である。外に立って見ると凄いほどに霧が立っている。
太陽は幻想の中に白く真円を見せて浮かんでいる。
二、三十メートル先が殆ど見えないのである。久しぶりだ。冬ならではの現象である。
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こんなときいつも思い出すのは「五里霧中」と言う言葉である。
深い霧の中で道に迷って、方角がわからなくなる。転じて、迷って思案がつかないということなのだが、なにを今更とお思いの方もおられるだろう。
以前テレビチャンピオンと言う番組で親子漢字チャンピオン大会なるものがあった。子供は小学生だ。そのときに「五里霧中」を答えとする問題が出た。
一組の親子がすぐさま正解を出した。子供はにこにこしている。
そこで司会者が意味を知っているかを聞いたのだ。子供は鬼の首を取ったかのような顔ですぐさま答えた。テレビを見ていた私は「えーっ、漢字さえ憶えりゃいいのか」と思わず声が出てしまった。