many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

中国行きのスロウ・ボート

2010-07-25 20:20:05 | 村上春樹
村上春樹 昭和61年 中公文庫版
村上春樹の第一短編集。
発表されたのは1980年から1982年にかけてという小説が七編あって、単行本は昭和58年刊らしいけど、私が読んだときには既に文庫になってた。
文庫の最後には、昭和60年12月25日印刷・昭和61年1月10日発行なんて書いてあんだけど、どうして年をまたぐ日程にしなきゃいけなかったのかは、わからない。
コンテンツは、
「中国行きのスロウ・ボート」
「貧乏な叔母さんの話」
「ニューヨーク炭鉱の悲劇」
「カンガルー通信」
「午後の最後の芝生」
「土の中の彼女の小さな犬」
「シドニーのグリーン・ストリート」
カンガルーも出てくるし、芝刈りも出てくるし、初期短編にして村上春樹的世界だなーと思う。
謎のような時空を超えた出会いのようなものがあって、けっこう好きです、この短編たち。
ふと浮かんだことを書いたようでいて、ものすごく深く何かの暗喩とか象徴を表してるようでもあるような、らしさがあると思います。
(技法がその後どんどん洗練されてくから、かえって今これ読むと、興味深かったりする、あくまで個人的に受ける感じだけど。)
でも、私がいちばん好きなのは「シドニーのグリーン・ストリート」。
シドニーで、ほんとは大金持ちなんだけど、趣味で(?)私立探偵をやってる「僕」が乾いた感じで語るストーリー、「羊男」から事件の相談が持ち込まれるって展開。

あと、この本のカバーの絵、とても好きです。安西水丸画伯の洋梨の絵。
コメント
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