羽生善治・伊藤毅志・松原仁 平成21年・新潮文庫版
こないだの『進化しすぎた脳」とか、脳科学関係のつながりで、もうひとつ。
人口知能や認知科学を研究している学者さんが、将棋の羽生善治名人を題材にして、先を読むプロセスとか、ゲームが強くなる学習行動とかの研究について書いたもの。
というと、むずかしく固く聞こえるが、本書の構成は、羽生名人にインタビューして、それに対して研究者がコメントするというつくりで、ものすごく簡単にいうと「この道の第一人者は、やっぱ、こういうとこがすごい」って、あらためて解説するというか、読者といっしょになって驚いてくれるという感じなんで、べつに難解な議論をしているわけぢゃないです。
二人の科学者が最初に最も驚いているのは、羽生名人の自身を客観的に眺める視点、「メタ認知」能力です。羽生名人が、自身の思考のたどった道筋などを明快に説明できる力はすごいとほめています。
そのほかにも、パターンというか「良い形だ」と感覚で認識して判断できる人間の能力は、どうやって可能になってるのかとか。
将棋の研究をするときに、実際にコマを並べるというのは、能動的で身体的な学習であり、視覚と同時に触覚もつかって多様な表現と結びついてるから記憶や知識を強固にするとか。
人間の思考とか学習に関する重要な研究テーマがいくつかあげられています。
羽生名人自身の言葉で面白いのは、>序盤戦においては、自分が何をやりたいかというよりも、できるだけたくさんの可能性を残しておくこと、そして相手がどのようにやってきても対応できるような手を指すことに重点を置いています。というあたり。
後半で、コンピュータ将棋についても当然ふれられていて、人間はパッと見で局面を把握して、候補手を直感である程度しぼりこめるし、前からの流れで次の手を考えるけど、コンピュータにはそれらはできないので、その場その場で片っぱしから計算して、最も価値の高いものを選択するという考え方しかしない、っていうようなことが紹介されてます。
この本が単行本で出たのが平成18年らしいけど、コンピュータは、そのあとも着実に強くなってきてます。
こないだの『進化しすぎた脳」とか、脳科学関係のつながりで、もうひとつ。
人口知能や認知科学を研究している学者さんが、将棋の羽生善治名人を題材にして、先を読むプロセスとか、ゲームが強くなる学習行動とかの研究について書いたもの。
というと、むずかしく固く聞こえるが、本書の構成は、羽生名人にインタビューして、それに対して研究者がコメントするというつくりで、ものすごく簡単にいうと「この道の第一人者は、やっぱ、こういうとこがすごい」って、あらためて解説するというか、読者といっしょになって驚いてくれるという感じなんで、べつに難解な議論をしているわけぢゃないです。
二人の科学者が最初に最も驚いているのは、羽生名人の自身を客観的に眺める視点、「メタ認知」能力です。羽生名人が、自身の思考のたどった道筋などを明快に説明できる力はすごいとほめています。
そのほかにも、パターンというか「良い形だ」と感覚で認識して判断できる人間の能力は、どうやって可能になってるのかとか。
将棋の研究をするときに、実際にコマを並べるというのは、能動的で身体的な学習であり、視覚と同時に触覚もつかって多様な表現と結びついてるから記憶や知識を強固にするとか。
人間の思考とか学習に関する重要な研究テーマがいくつかあげられています。
羽生名人自身の言葉で面白いのは、>序盤戦においては、自分が何をやりたいかというよりも、できるだけたくさんの可能性を残しておくこと、そして相手がどのようにやってきても対応できるような手を指すことに重点を置いています。というあたり。
後半で、コンピュータ将棋についても当然ふれられていて、人間はパッと見で局面を把握して、候補手を直感である程度しぼりこめるし、前からの流れで次の手を考えるけど、コンピュータにはそれらはできないので、その場その場で片っぱしから計算して、最も価値の高いものを選択するという考え方しかしない、っていうようなことが紹介されてます。
この本が単行本で出たのが平成18年らしいけど、コンピュータは、そのあとも着実に強くなってきてます。