many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ゴッドウルフの行方

2010-11-01 18:17:02 | 読んだ本
ロバート・B・パーカー/菊池光訳 昭和61年 ハヤカワ・ミステリ文庫
というわけで、「スペンサー・シリーズ」を読み返してみようと思ってる、最近。
途中まで読んで、その後どこかで手を出さなくなったんだけど、最初っから再び読んでけば、もしかしたら先に進むかもしれないし。
この『ゴッドウルフの行方』は、スペンサーが初登場した話。
私が読んだのは『失投』に次いで二冊目、文庫がその順で出たもんで。
まあ、よくしゃべるし、しかも気の利いた言い回しをしようと頑張るし、自分の肉体のタフさを誇示するし、なんかっつーと料理しだしたりして、スペンサーは最初からスペンサーだったってことを再確認できた。
謎解きとか犯人当てぢゃなくて、スペンサーの視点で解決すべき方向へグイグイ行動していくのに引っ張られていくまま読むことになるんだけど。
警察は、一見明白な事件には力を注がないのです、(略)彼らは物事を緻密に考えている時間がない。彼らは五つの球を放り上げて操るのはたいへん上手だが、犯罪の場合はつねに球が六つあって、彼らは必死で走れば走るほど遅れてゆくのです。
わたしは、自分が扱いたいと思う問題を扱う……だからフリーランサーなのです。そのために、正義について頭を悩ますというぜいたくなことができる。
などと本作のなかでスペンサーは語ってますが、最初に大学に頼まれた、盗まれた文献の捜索よりも、殺人の疑いをかけられて窮地に陥った女子学生を救おうとするほうにシフトしていく展開になります。
しかし、最初の依頼人である大学の警備主任のところの秘書(ブレンダ・ローリング)を、通うたびにちょっかい出して、二作目以降もガールフレンドとして登場する存在にしちゃうとか、余計なこともしっかりやってるとこも、また面白い。
どうでもいいけど、ハードボイルドもの読むと、車乗ってんのに酒飲んぢゃうとこがカッコよくて、昔からあこがれてる。
フィリップ・マーロウなんかもそうだけど、スペンサーも車で相手のとこ乗りつけて、「バーボン、あればビターを少々」なんて言って、飲んで話をして、飲み物をありがとうなんて礼を言って、また車で去ってったりする。たとえ法律が許してくれても、マネできないな、きっと。事故っちゃう。
物語の後半、例によって(第一作をつかまえて例によってはないか)、そこまで抑制してきたのを解き放つというか爆発させるように、バイオレンスシーンの描写があります。
書くとネタばれ抵触するんで内容記さないけど、かなり読んでて自分の手にも力が入ります。事件の結末としては、救いがあまりないなぁ、って感じだけど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする