
海外寺院の数百メートル南に、パンチャ・ラタ(5つの寺院)がある。ラタとは、車の意味で、神の乗り物といった意味になるのだろう。
ミニュチュアのような様々な様式の寺院や、動物達がかわいらしく並んでいるが、何と一つの岩から掘り出したものなのだそうだ。7世紀半ばというから、日本でいえば、大化の改新のころになる。
当時の木造の寺院の姿を石で掘り出したもので、貴重なものだ。当時、この地で栄えたパッラヴァ朝建築の様子を現代に伝えている。

これは、北の入り口に一番近いところにあるドラウパディー・ラタ。5つの寺院の名は、みなマハーバーラタの登場人物から来ている。方形(ほうぎょう)造りと呼ばれる。

中には、神様の浮き彫りがあった。
皆砂に長い間埋もれていたものだそうで、19世紀に掘り出された。比較的よく残っている。

これは、アルジュナ・ラタ。南方系の寺院の姿だ。この姿は、インドネシアのジョグジャカルタの近くで、見たように思う。

寺院の壁のレリーフも見事だ。

これは、ビーマ・ラタ。切妻屋根のゴプラ型だ。

一番奥にあるのが、ダルマラージャ・ラタ。これも南方型だ。

これは、前方円形のナクラ・サハーデーヴァ・ラタ。チャティア堂だ。よく見ると、屋根には、小さな祠堂が並び、それぞれが、チャイティア窓で飾られている。

動物たちも見逃せない。これは、象だが、結構写実的だ。

ライオンももちろんあった。この姿は、東南アジアのものとよく似ている。

ヒンドゥ教でヴィシュヌ神の乗り物である牛(ナンディ)は、かかせない。
それにしても、一つの岩からこれらの寺院や動物達を掘り起こしたパワーは、すごすぎる。