マハーリープラムで一番有名なのは、この浮き彫りかもしれない。長さ32m、高さ10mにも及ぶ巨大なレリーフだ。
すばらしいものだが、テーマが今では判然としない。マハーバーラタにあるアルジュナの苦行を表したものという説と、ヒンドゥ神話のアルジュナの苦行を描いたものだという説がある。
この象の写実性、天に舞う神々は、見事の一言。
裂け目の左側は、解釈が分かれる。まず、左下の部分は、未完としか思えない。何らかの理由で、制作をやめてしまったのだ。
裂け目の左上の方で、シェーをしているように見えるのが、苦行中の神と考えられており、このレリーフのテーマの主人公?だ。しかし、この壮大なレリーフのサイズに比し、主役があまりにもシャビーではないか?
ちなみにこの裂け目は、ガンジス川と考えられており、ナーガ(神龍)の姿も見える。
亀裂の右下には、猫らしきものが、同じポーズをとっている。さらに亀裂の左下には、人が同じポーズをとっているように見える。ふざけているのか!
祠堂らしきものに向かってお祈りする人の姿も見える。
さらに、レリーフの右では、親子猿が、くつろいでいる。これが苦行か?
彫り手のユーモアを感じる。
レリーフの左側には、大きな石窟があり、その柱は、立派。特にライオンをモチーフにした柱は、パッラヴァ王朝の象徴と考えられている。ところが、この石窟には、レリーフがない。やはり、途中で、制作を止めてしまったと思われるのだ。
奥の象のレリーフが、今にもこちらに向かって歩き出してきそうだ。
謎が多い一帯だが、このレリーフだけでも素晴らしかった。