今日から、9月。崎陽軒さんの季節弁当も、衣替え。
ビートルズのデビュー50周年の本が次々出ているが、本書もその内の一冊。
お馴染み?の中山さんの本。
流石に、たくさん本をお書きになって、やや疲れ気味というか、50周年に合わせて無理やり発刊したというか。
いつもの、ユニークな語り口は、健在だが、解体新書だからと言って、アンソロジーのバージョンの解説本とするのはいかが?それも、私は、読んでいないが、以前出た本の焼き直しらしい。
そういった意味では、本書の読みどころは、限られるのかもしれない。
でも、絶妙の語り口で、面白い。音楽評論家というよりは、音楽エッセイストと考えた方がいいのだろう。
特徴の一つは、一般には聴かれていないアバンギャルドなビートルズメンバーの作品を積極的に取り上げていることだ。恥ずかしながら、私も聴いていないものがたくさん紹介されている。
だからといって、なかなか手を出す気にはなれないのだが。
後は、一般には知られざる裏話。
ビートルズが、デッカの、1962年1月1日のオーディションで落とされたのは有名だが、同じ日のオーディションで、トレメローズというグループが合格していたそうだ。
トレメローズ>ビートルズ?
トレメローズがロンドンのグループで、ビートルズがリバプール出身というところが、決め手になったらしい。
本書の8割が、アンソロジーシリーズの楽曲の(主観的)解説。
楽曲を、”エルビス/クリフ・リチャードにボブディランを足してジョン・レノンを掛け合わせた感じ”などという表現が続くので、やはり、主観的と言わざるを得ない。
それを良しとするか、ダメとするかは、読者次第。私は、それも面白いかなっという感じ。
ローリングストーンズのブライアン・ジョーンズと、GHとの交流とか、アップルビルの屋上でのゲリラライブの原型が、寸前にNYであり、Let It Be の映画監督であるマイケル・リンゼイ・ホッグが、それを知っていた事実などが明かされる。
この事実は、中山氏の本を読んだ読者の指摘で明らかになったという。恐るべし。
ということで、やや焼き直し感があるものの、ちょっとビートルズをマニアックに知りたい人向けの本。
アンソロジーの音源は、ビートルズの曲作りの手法のヒントがたくさん含まれており、”解体新書”は大げさにしても、いろんな新事実が明らかになったことには違いない。