かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

ほとけの履歴書

2012年09月11日 | Books

今、日本が1点入れた!このまま頑張って欲しい!



本書は、せんとくんの産みの親である薮内さんの本。
読んだら、以前eテレでやっていた薮内さんの仏像の番組と、基本的には、同内容の本だった。どっちが先だったか忘れたけど。
もちろん、こちらの方が、より充実している。

本書は、奈良の仏像を題材にして、仏像の歴史を、仏教の歴史とともに、わかりやすく説明してくれる。
薮内さん自体、子供のころから、仏像に親しんでいたということで、心の底から仏像を愛されていることがよくわかる。

ただ、やはり本書の特徴は、仏像の製造方法について、極めて深い洞察を加えているところだ。
特に、乾漆像についての洞察、木造の材質の変化の背景等、興味深かった。

我々が仏像を見る時、仏像の名前と、作られた時代と、仏像のお姿を見て、満足してしまうが、その製法までは、考えが及ばない(少なくとも私は)。
事実、本書を読んで、木造と思っていたものが、乾漆像であることを知った仏像があった。

百済観音も、木造とばかり思っていたら、顔の部分は乾漆で、昔は、乾漆像と呼ばれていたという。
広隆寺の弥勒菩薩は、木造と思っていたが、元は、木心乾漆像で、その表面がはげた木心の姿が、あの美しい像らしいのだ。
秋篠寺の伎芸天立像は、顔の部分が天平時代の脱活乾漆造りで、胴体部分は、鎌倉時代の寄木造り。この話は結構有名だが。
その他にも、目から鱗の話がいっぱい。
読みやすいし、仏像ファンには、是非お勧めしたい本。仏像の製法から、これだけわかりやすく切り込んでいる本は、少ないだろう。

ちなみに、この前行った印度の神様との関係についても触れられている。
ブラフマー→梵天
インドラ→帝釈天
サラスバティ→弁財天
ラクシュミー→吉祥天
シヴァ→大自在天→不空羂索観音
アフラ(バビロニア)→アスラ(インド)→阿修羅
ミスラ(バビロニア)→マイトレーヤ(インド)→弥勒菩薩
面白い。

本書の出た、遷都1300年以来、奈良とはご無沙汰なので、ますます、しばらく振りに行きたくなった。

コメント
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