山本一力さんの小説を読むのは初めてだ。
というより、時代小説を読むこと自体ほとんど珍しい。
この前お世話になった浅田屋さんのご先祖様を題材にした小説とお聞きし、読んでみた。
今は、料理屋になっている浅田屋さんは、江戸時代は、加賀藩御用達の飛脚だった。
当時の飛脚は、単なる運送屋ではなく、幕府と地元を結ぶ、地方の殿様達にとって、極めて重要な生命線だった。
なかなかよくできているし面白い。
児玉清さんによる解説もよくできていて(平成20年8月のもの)、それとかぶるが、江戸の松平定信が老中になった時の様子、関ヶ原からずいぶん経っているのにまだ深い外様の藩と幕府との確執、そして幕府が加賀藩に仕掛けた罠が。活劇調で、読者は200年前の江戸時代の舞台に引きずり込まれていく。
そして、そこからスリル満点のストーリーが繰り広げられる。
加賀鳶というお酒があるが、加賀鳶のいさましい様子も描かれる。火事は、江戸の花だ。飛脚に向けられた刺客もさもありなん。当時の親知らず子知らずの命懸けの様子。江戸、加賀を結ぶ飛脚の冬の難儀な様子。目に浮かぶようだ。
時代ものの小説好きの方、金沢にゆかりのある人にお勧め。絶対楽しめる。
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