かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

9・30 世界を震撼させた日

2014年04月04日 | Singapore・Malaysia・Indonesia


本書は、先日ネシアに行った時の、じゃかるた新聞で知った。
じゃかるた新聞は、昔ながらの新聞だが、このネット社会でも、しぶとく発行されている。
ネシアの地元ならではのディープなニュースと、世界のニュースの見出し的な記事で、編集されていて、ネシア在住の日本人にとって重宝な存在になっている。
そして、その書評に、たまたま本書が載っていたのだ。

スカルノからスハルトへの政権移行については謎が多く、昔読んだ小説の”ガルーダ商人”でも触れられていたが、結果的には、共産主義が徹底的に排除され、スカルノも権力を失い、華人は迫害を受け、スハルトの専制体制が確立された。スハルト政権時代、徹底的に情報統制されていたため、真相は闇の中だ。
私が最初にジャカルタにあるモナス(独立記念塔)に行った時、インドネシアの歴史のジオラマ展示があって、スカルのからスハルトへの政権移譲の場面があったが、事実とは大きく異なっていることは、公然の秘密であった。

http://www40.tok2.com/home/kaneyan/INFRAMEJAKARTA.html

では、この9・30とは、何だったのかの真相に迫ろうとした本が本書である。地道な調査、インタビュー、過去の膨大な文献等を通し、俗説を排除し、ピースはつながらないものの、事実が何であったかは、かなり明らかにされているように思う。

ちなみに、この事件の真犯人は、未だ不明だが、本書は以下にまとめている。
①共産党陰謀説(正史)
②国軍内部の権力争い説
③スカルノ首謀説
④スハルト首謀説
⑤CIA関与説
これらの諸説は、一長一短あるが、最終勝利者は、スハルトであったことは事実である。それと、アジアの共産化を食い止める大きな事件であったことも。

当時の混沌とした東南アジアの様子、情報が極めて限られていた様子、その時、スカルノといっしょにいたデビ夫人の存在、虐殺の凄まじさ、その後のインドネシアの発展、スハルト政権の崩壊などを考えると、極めて興味深い内容だ。
松本清張さんにこの材料をお渡ししたら、すばらしい小説に仕上げてくれるだろう。
コメント
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